若手人材の離職に「課題を感じる」と人事担当者の63%が回答:キャリアニュース
「HR総研」が若手人材の離職防止に関する調査結果を発表した。若手人材の離職に「何らかの課題感がある」と63%が感じていた。課題感の内容として、大企業は「採用、教育コストの損失」、中堅中小企業は「次世代リーダーの育成の停滞」を挙げた。
ProFutureの研究機関「HR総研」は2023年1月12日、「若手人材の離職防止」に関する調査結果を発表した。同調査は企業の人事責任者、担当者を対象としたもので、248件の有効回答が得られた。初めに「若手人材の離職に対する課題感」を尋ねたところ、「課題感がある」が27%、「やや課題感がある」が36%となり、合わせて63%が「何らかの課題感がある」と感じていることが分かった。
「若手人材の離職に対する課題感」を企業規模別に見ると、1001人以上の大企業は71%、301〜1000人の中堅企業は78%、300人以下の中小企業は52%で、企業規模を問わず半数以上が何らかの課題感を持っていた。また、中小企業と比べて大企業、中堅企業の方が「何らかの課題感がある」の回答割合が高かった。
次に「若手人材の離職に対する課題感の内容」を尋ねた。企業規模別に見ると、大企業は「採用、教育コストの損失」(65%)が最も多く、「既存社員の負担の増加」(63%)、「次世代リーダー育成の停滞」(56%)が続いた。中堅企業と中小企業は1位、2位が同じで「次世代リーダー育成の停滞」(74%、66%)、「既存社員のモチベーションの低下」(51%、61%)となっている。
続いて、若手人材の直近1年間の離職率(直近離職率)を調べた。大企業は「5%未満」(39%)が最も多く、次いで「5〜10%未満」(36%)、「10〜20%未満」(20%)だった。中堅企業は「5〜10%未満」(27%)が最多で、「10〜20%未満」(25%)、「5%未満」(24%)が続いた。中小企業の最多回答は「0%」(30%)で、次いで「5%未満」(23%)、「5〜10%未満」(17%)となっている。中小企業の離職率の低さは、「(若手人材の離職に)何らかの課題感がある」の回答割合が他の企業規模より低かったことにつながっているとも言えそうだ。
「若手人材の離職の要因」を企業規模別に見ると、大企業のトップ3は「業務内容のミスマッチ」(46%)、「上司との人間関係」「社内でのキャリアアップが見込めない」(同率32%)だった。中堅企業は「上司との人間関係」(53%)が最多で、次が「業務内容のミスマッチ」と「同僚、先輩、後輩との人間関係」(同率38%)だった。中小企業は「上司との人間関係」(31%)が最多。次いで「待遇(給与、福利厚生)」「同僚、先輩、後輩との人間関係」(同率30%)となっている。中堅、中小企業は大企業よりも職場のコミュニティが狭くなる傾向があるためか、離職要因の多くを職場の人間関係が占めている。
早期離職を防ぐための取り組みで、効果が感じられるものは
若手人材の早期離職を防ぐために企業で実施している、新入社員のオンボーディング施策を尋ねたところ、大企業は「入社直後での導入研修」と「入社後の定期的なフォロー研修」(同率53%)が最多だった。次が「上司との定期的な面談(対面)」と「メンター制度」(同率39%)となっている。中堅企業は「入社直後での導入研修」(60%)が最も多く、「上司との定期的な面談(対面)」(46%)、「入社後の定期的なフォロー研修」(42%)が続いた。中小企業も「入社直後での導入研修」(44%)が最多で、次いで「上司との定期的な面談(対面)」(40%)となっている。
また、離職リスクを早期に把握するための取り組みのトップ3は、「評価時の面談」(51%)、「サーベイ(社員満足度、エンゲージメント、モチベーションなど)の実施」(37%)、「評価面談以外の定期的な面談(1on1など)」(34%)となっている。
離職リスクを早期に把握するための取り組みのうち、効果が感じられるものは、評価面談以外の定期的な面談(1on1など)」(74%)が最も多かった。次が「人事面談」「業務以外の雑談」(同率71%)となっている。これらの取り組みは、実施率は3割程度以下ながら、実施した企業では7割以上が効果を感じていることが分かる。
「若手人材の離職防止を意識した取り組み」で最も多かったのは、「社内コミュニケーションの活性化」(42%)だった。2位は「教育、研修制度の強化」(31%)、「職場環境の向上」(29%)となっている。
「若手人材の離職防止を意識した取り組み」のうち、最も効果が感じられるものは、「待遇改善」「社内コミュニケーションの活性化」(同率60%)だった。「待遇改善」の実施率は19%で、実施が困難な企業も少なくないと思われるが、「社内コミュニケーションの活性化」は取り組みやすい施策のためか、実施率が42%で最も多かった。
HR総研は「社内コミュニケーションの活性化」について、若手社員の心理的安全性が担保されることやイノベーションの創出につながることなど、若手社員の離職防止以外にさまざまな副次的効果が期待されるとしている。
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