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振動と音に関する基礎量 その2CAEと計測技術を使った振動・騒音対策(3)(2/4 ページ)

連載「CAEと計測技術を使った振動・騒音対策」では、“解析専任者に連絡する前に、設計者がやるべきこと”を主眼に、CAEと計測技術を用いた機械の振動対策と騒音対策の考え方や、その手順について詳しく解説する。連載第3回では、騒音計を使う際にいつも設定している「A特性」と「音響インテンシティ」について取り上げる。

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音響インテンシティ

 平面音波は図5に示すように圧力変動が音速で進行します。連載第2回で空気の小さな塊(粒子)が振動していることを説明しました。音響インテンシティの瞬時値は式3で定義されます(参考文献[1])。粒子速度はベクトル量なので、音響インテンシティはベクトル量となります。

音響インテンシティ
図5 音響インテンシティ[クリックで拡大]
式3
式3

 瞬時音響インテンシティの時間平均が音響インテンシティです。これもベクトル量で次式となります。

式4
式4

 音響インテンシティが意味するものを考えてみましょう。図6に音の伝搬方向に垂直な面Δsとその面の圧力pと粒子速度uを示します。

音の伝搬方向に垂直な面
図6 音の伝搬方向に垂直な面[クリックで拡大]

 音波が垂直な面Δsを押す力fは次式となります。

式5
式5

 時間Δtの間の面Δsの移動距離は次式となります。

式6
式6

 Δt間に音波がΔsになす仕事は、力×移動量なので次式となります。

式7
式7

 単位時間に面Δsに音波がなす仕事は次式となります。

式8
式8

 単位時間に単位面積に音波がなす仕事は次式となります。

式9
式9

 式9式4を見比べると同じですね。というわけで、音響インテンシティは単位面積の面を通過する音のエネルギーです。

 市販の音響インテンシティ測定器には、測定値をデシベル表示するものがあります。その定義を以下に記します。ちなみに、音響インテンシティは負の値を持つことがあるので、デシベル表示の使用について筆者は賛成していません。よって、ここではデシベル表示は使わないことにします。

式10
式10

 球面音波について考えてみます。図7に出力W[W]の点音源から音が放射されている状態を示します。このような音源を「呼吸球」といいます。球の表面積は4πr2なので音源からの距離がr[m]のところの音響インテンシティの大きさは式11となり、音響インテンシティ方向は音源から遠ざかる方向となります。分かりやすいですね。

球面音波
図7 球面音波[クリックで拡大]
式11
式11

 平面音波に戻ります。連載第2回で次式を紹介しました。平面音波なので粒子速度u(t)は一方向成分となりベクトル記号を外しています。

式12
式12

 式12を変形します。

式13
式13

 式13式4に代入します。平面音波なのでベクトルを絶対値と表記します。この積分は連載第1回で述べた実効値を求める形なので、音響インテンシティの大きさは音圧の実効値の二乗をcρで割った値です。よって、音響インテンシティから音圧を求めることができます。

式14
式14

 球面音波でも同じ式となります。

参考文献:

  • [1]日本規格協会|音響−音響インテンシティによる騒音減の音響パワーレベルの測定方法|JIS Z 8736-1(2014)

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