三菱電機が混合プラの選別に家電リサイクル技術を適用、花王との協業で:材料技術
三菱電機は、グループ会社のグリーンサイクルシステムズが保有する「静電選別技術」を活用し、シャンプーボトルなどに含まれる複数のプラスチックを分別して、効率的にリサイクルできるかの検証を進めている。
三菱電機は2022年12月21日、家電リサイクル向けの「静電選別技術」を、花王から提供される混合プラスチックの選別に適用するための実証試験を開始したと発表した。同年10月に検討を始め、12月までに先端技術総合研究所(兵庫県尼崎市)における実証試験の本格稼働に向けた準備を進めていたが、今後は混合プラスチックの帯電条件を最適化するための試験を本格化させる。
今回の試験では、グループ会社のグリーンサイクルシステムズが保有する静電選別技術を使用し、花王製品のシャンプーボトルなどを粉砕することで生じる混合プラスチックをPE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポロプロピレン)などに分けて、各プラスチックの純度と回収率を分析してその技術の有効性を検証する。
今後は、さまざまな分野で同様の試験を実施し、多様なプラスチック製品を対象に、静電選別技術を活用したリサイクルの有効性を確かめる。こういった試験の結果などを用いて、プラスチックをリサイクルする高度選別装置の販売やサービスの提供を2024年度以降に開始する予定だ。
グリーンサイクルシステムズは、2010年に国内で初めて、家電プラスチックのリサイクルに静電選別技術を量産適用している。静電選別技術は、X線での選別技術などを組み合わせた独自の高度な選別が可能なことが特徴。同社は、静電選別技術により家電製品から年間約1.2万トンの高純度再生プラスチックを生産している。
昨今、国内では、循環型社会の実現に向けてさまざまな企業が連携し、プラスチックのリサイクルに取り組んでいる。しかし、プラスチック製品の中には、数種類のプラスチック素材が混ざっているものがある。リサイクルではこれらの素材を選別しなければならず、高純度で選別して回収率を高める必要もある。
特に、シャンプーボトルなどの日用品は、複数のプラスチック素材(PE、PET、PPなど)が含まれるため、これらを高純度に選別する方法や手順の確立が求められていた。
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