半導体産業向け研削盤の実機出展、超音波の振動で自生発刃を促進:SEMICON Japan 2022
ジェイテクトマシンシステム(旧 光洋機械工業)は「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)において、硬脆材料/複合材料ウェーハ研削盤「R631DF」の超音波援用ユニット搭載仕様を参考出展した。2023年以降の上市を予定している。
ジェイテクトマシンシステム(旧 光洋機械工業)は「SEMICON Japan 2022」(2022年12月14〜16日、東京ビッグサイト)において、硬脆材料/複合材料ウェーハ研削盤「R631DF」の超音波援用ユニット搭載仕様を参考出展した。2023年以降の上市を予定している。
SEMICON Japanに初めて実機を展示
R631DFはビルトインサーボモーター式エアスピンドルを搭載しており、低振動で高精度の研削に対応する。材料は酸化アルミニウム(Al2O3)、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)など各種硬脆材料や、硬脆材料と樹脂、樹脂と金属、硬脆材料と金属など複合材料のウエハーの研削に対応している。加工範囲は径50〜200mmで厚みは2.5mmまで。傾斜テーブルを搭載しており、結晶方位の角度誤差を補正して研削する。
開発中の超音波の援用は、砥石の目を立てる効果を狙ったものだ。研削砥石は、砥石の中に埋め込まれた小さな砥粒が材料を削っていく。研削をしていく中で砥粒がすり減り、研削力が落ちていくと、古い砥粒が脱落して新しい砥粒が出現し、研削が続けられるようになる自生発刃が起こる。ただ、硬脆材料は自生発刃が不安定になりがちで、「超音波を援用することで自生発刃を促して切れ味を維持する。通常、自生発刃が安定しにくい砥石でも、超音波でアシストすることで自生発刃を発生させ、切れ味を回復させる効果を狙っている」(説明員)。砥石摩耗率の低減効果もあるという。
超音波は砥石の中央部で発生する。内部のピエゾ素子に一定の周波数の交流の電荷をかけて伸縮させることで振動が発生し、ホーンを伝わって砥石を振動させる。「SiCウエハーが6インチから8インチに変わっていく時に、必ず今までの加工法ではできない何かが出てくるはずだ。その時にわれわれの新しい技術が投入できればと研究開発を続けている」(説明員)。
同社によれば、SEMICON Japanに実機を展示するのも初めてという。「半導体産業向けにJTEKTとして機械を出していることもあまり知られておらず、今回の展示会でも“こういった機械を出しているとは知らなかった”という声もいただいた。今後はアピールをしていきたい」(説明員)。
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