“今再びの現場革命を”マザックが提案する製造現場のデジタル活用:工作機械(2/2 ページ)
ヤマザキマザックは2022年12月7〜9日まで、美濃加茂製作所 第一工場 ワールドテクノロジーセンタ(岐阜県美濃加茂市)などでJIMTOF2022アンコールフェア(以下、アンコールフェア)を開催し、最新のソリューションや新機種7台を含む計28台の工作機械を展示した。期間中は事前登録した約1700人が来場した。
タイで見たEV部品製造の地殻変動
量産対応として高速のFSW(Friction Stir Welding、摩擦攪拌接合)を可能にした「FSW-460V」も展示した。FSWは、摩擦熱で軟化させた材料を攪拌して接合する技術であり、溶接とは異なり加工物(材料)以外の素材を用いず、材料も溶融しない。アルミニウムと鉄、真ちゅう、銅など異材接合も可能だ。FSW-460Vは用途としてEV(電気自動車)のインバータケース、バッテリーケースやモーターケース、半導体製造装置の冷却部の接合を見込んでいる。
マザックは2014年にFSW機能と切削機能を融合したハイブリッド複合加工機を発表、今回EV向けの需要を見込んで新たにFSW-460Vを2022年11月に発売した。現在、テスト加工依頼が多く届いているという。
タイで行われた工作機械などの展示会「METALEX 2022」(2022年11月16〜19日、バンコク)を視察してきた山崎氏が感じたのは、製造業の地殻変動のようなものだった。山崎氏は「FSW-460VはJIMTOFにも、METALEXにも出展したが、需要地はタイだった」と話す。
東南アジアの中でタイは自動車産業が盛んで、日本企業も多数進出している。近年はEV向け投資の誘致にも政府は力を入れている。「日系を含めてタイにあるアルミダイカストメーカーが困っていた。上流のEV部品のサプライヤーから部品の加工方法としてFSWを指定されたが、中国製の機械を使わざるを得ない。加工スピードが遅く、壊れてもなかなか直しに来ないという。FSWはもともと航空機産業で使われて、そこから色んな産業に広がったが、EV向けにも使うトレンドが日本の外で起きている。タイをはじめ需要地ではFSWの引き合いが多かった」と語る。タイで作られた部品が欧州などに運ばれ、EVとして組み立てられるという。
EV向けとしてはレーザープロセス試験装置も参考出展した。自動車の電動化が進むとモーターの巻き線など銅の溶接箇所が増えていくことが見込まれる。「大きさ、形状、量に応じて色んなパターンがある中で、レーザー溶接が広がっていくのではないかと考え、具体的な商品化の計画があるわけではないが研究は続けている」(山崎氏)。
近年国内で関心が高まる金属3Dプリンタに関しては、ワイヤアーク式を採用したハイブリッド複合加工機「VARIAXIS j-600AM」を展示。テーブルサイズは径600mm×500mm、最大ワークサイズは径730mm×450mm。「金型補修の需要はある」(山崎氏)。
その他、協働ロボットを用いてワークの搬出入から、チャック爪、ロボットのハンド、タレットの工具交換までを可能にした自動化システムや、切削能力が従来機比で最大54%向上し、超高速回転の「UltraSpindle」を搭載することで金型の荒加工から仕上げ加工まで1台で可能になる立形マシニングセンタ「VCN-460」「VCN-600」なども展示した。
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