ミドル層の8割が61歳以降も働きたいと回答、後進の昇進を阻むと懸念の声も:キャリアニュース
転職サイト「ミドルの転職」が「定年延長」についての調査結果を発表した。定年を延長して、61歳以降も働きたい人が80%を占めたが、働く高齢者が増えることの社会的影響として、後進の昇進や若者の雇用を奪うことを懸念する声もあった。
エン・ジャパンが運営するミドル世代のための転職サイト「ミドルの転職」は、2022年11月2日、「定年延長」についてのアンケート調査結果を発表した。同調査の対象者は「ミドルの転職」を利用する35歳以上のユーザーで、2376人から回答があった。
まず、年金法の改正について、年金の受給開始を66〜75歳まで繰り下げ可能になり、繰り下げた場合は受給額が増額されるようになったことを知っているか尋ねた。その結果、「内容を含めて知っている」と回答した人は14%だった。回答割合が最も多かったのは「名称だけ知っている」で、56%だった。
次に、高年齢者雇用安定法の改正について、70歳までの定年引き上げや継続雇用制度の導入が企業側の努力義務になったことを知っているか尋ねた。こちらも「名称だけ知っている」が50%で最も多く、「内容を含めて知っている」は15%だった。どちらの法改正を見ても、内容まで把握していると回答した人は2割以下になっている。
法改正の内容について説明した上で、年金受給時期を選択できたり、働く意欲がある高年齢者が定年を延長できたりと、長く働きやすい環境整備を国が進めていることについて、賛成か反対か尋ねた。結果は「賛成」が35%、「どちらかといえば賛成」が46%、「どちらかといえば反対」が14%、「反対」は5%で、賛成意向が81%を占めた。
定年延長したい人、したくない人、それぞれの理由
続いて、回答者自身について、何歳まで働きたいと思うか尋ねたところ、「61歳〜65歳まで」が28%、「66歳〜69歳まで」が11%、「70歳まで」が21%、「71歳以上」が20%となり、61歳以降も働きたい人が8割を占めた。
61歳以降も働きたいと回答した人に、定年延長しても働きたい理由を尋ねた。トップ3は、「年金だけでは生活できないから」(63%)、「定期収入を得られる期間が延びるから」(52%)、「健康、体力維持のため」(51%)となった。
これを年収別に見ると、「年収1000万円以上」の人の最多回答は「定期収入を得られる期間が延びるから」(57%)で、「年収1000万円未満」の人は「年金だけでは生活できないから」(71%)が最多となった。
一方、何歳まで働きたいかという質問に「60歳以下(59歳までと60歳までの合計)」と回答した人に、定年延長などをしない理由を尋ねた。全体および年収層を問わず、「仕事以外のことに時間を使いたいから」が最も多かった。
次に、定年延長などにより、多くの高年齢者が働くようになると、社会や会社にどのような影響を与えると思うかを尋ねた。1位は「年金制度や社会保障制度が変わる」(44%)で、2位が「意欲的な高齢者が増え、健康寿命が延びる」(43%)、3位は「国民全体の生涯年収が増える」(37%)となった。
このように、ポジティブな回答がある一方で、4位の「ポストが空かず、後進の昇進を阻んでしまう」(33%)、同率5位の「若者の雇用や、活躍の場を奪ってしまう」(30%)など、負の側面を挙げる回答もあった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 女性管理職調査、64.4%が「家庭の制約がなければ管理職を希望する」【訂正あり】
「しゅふJOB総研」が「女性管理職」に関するアンケート調査結果を発表した。女性管理職を「希望する」は26.5%だったが、家庭の制約がなく、100%仕事のために時間を使うことができる場合は、管理職を希望する人が64.4%となった。 - 「幹部候補への教育が不十分」と約4割が回答、人材選抜やゴール設定に課題
みらいワークスが「幹部候補に対する教育・育成の実態調査」の結果を発表した。人事担当者の約4割が「幹部候補への教育、育成が不十分」と回答し、「人材の選抜」「明確なゴールの定義」「育成の仕組みづくり」に課題があると考えていた。 - 若手社員の約4割が、難しい仕事への挑戦を「成長の機会と感じる」と回答
ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所は、本人の力量より難易度の高い業務に関する「若手社員の意識調査」の結果を発表した。社会人2〜4年目の約4割が、難しい仕事への挑戦を「成長の機会と感じる」と回答した。 - 3Dプリンタの性能に合わせた設計(DfAM)ができるデジタルエンジニアを育成する
現代のモノづくりにおいて、3D CADやCAE、CAM、3Dプリンタや3Dスキャナーといったデジタル技術の活用は欠かせない。だが、これらを単に使いこなしているだけではデジタル技術を活用した“真の価値”は発揮できない。必要なのは、デジタル技術を活用し、QCDの向上を図り、安全で魅力ある製品を創り出せる「デジタルエンジニア」の存在だ。連載第4回では「3Dプリンタの性能や特徴に合わせた設計、「DfAM」ができるデジタルエンジニアの育成」について解説する。 - 明電グループ社員の安全意識向上を目的とする「メタバース安全伝承館」を開発
明電舎と子会社の明電システムソリューションは、インフィニットループおよびそのグループ会社であるバーチャルキャストと共同で、社員向け安全教育の強化を目的とした「メタバース安全伝承館」を開発した。 - 「仕事の飽き」に壁を感じるのは「社会人2年目」が最多――約5割が実感
ラーニングエージェンシーとラーニングイノベーション総合研究所が「若手社員の意識調査」の結果を発表した。社会人2〜4年目の直面する壁は各年次とも「仕事に関するもの」が上位を占めた。「仕事の飽きの壁」は「社会人2年目」が最も多かった。