生体外でほぼ100%毛幹を生み出せる、毛包オルガノイドを作製:医療技術ニュース
横浜国立大学は、生体外でほぼ100%の高効率で毛幹を生み出せる、毛包オルガノイド「ヘアフォリクロイド」の作製に成功した。マウスへの移植実験により、毛包が生着し、毛が生え変わることが確認できた。
横浜国立大学は2022年10月24日、生体外でほぼ100%の高効率で毛幹を生み出せる、毛包オルガノイド「ヘアフォリクロイド」の作製に成功したと発表した。マウスへの移植実験では、毛包が生着し、毛が生え変わることが確認できた。
今回の研究では、マウスの上皮系細胞と間葉系細胞を培養し、その初期に形成する凝集体の空間配置パターンを制御することで、成熟した毛包の再生に成功した。空間配置パターンが異種排他的なダンベル構造では毛包は再生しないが、異種間の接着性が強いコアシェル構造を形成する際、毛包がほぼ100%の効率で再生した。
形成した毛包オルガノイド(ヘアフォリクロイド)を基底膜マトリクスのマトリゲルで包埋し、23日間培養したところ、毛幹がピンセットで操作可能な3mmまで伸長した。また、ヘアフォリクロイドには、生体の毛包に含まれる主要な細胞が存在することが確認され、再生した毛幹はキューティクル構造を有していた。
髪色の変化に関する実験では、メラノサイト刺激ホルモンの添加により、メラノソームの生成の場である毛球部で、メラノソームの動きを可視化。ホルモンに応答して、毛幹のメラニン色素が濃くなる薬剤の効果を評価できた。
また、ヘアフォリクロイドをヌードマウスに移植し、毛髪再生を検証した。移植部で毛幹が伸張し、少なくとも1年間は継続して生え変わることを確認できた。
今回の結果から、生体現象理解のための培養モデル、白髪や脱毛症に対する創薬、毛髪再生医療などに対するヘアフォリクロイドの応用が期待できる。
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