【ケース6】共通部品の管理をPDMシステムで行うにはどうしたらいいの?(1):設計現場のデータ管理を考える(6)(2/2 ページ)
3D CADの本格運用に際して直面する「データ管理」に関する現場課題にフォーカスし、その解決策や必要な考え方を、筆者の経験や知見を交えて解説する。第6回は「共通部品の管理をPDMシステムで行うにはどうしたらいいの?」をテーマに、PDMシステムにおける共通部品の管理について取り上げる。
登録が正しく行われるためのアクセス権と承認フロー
iCAD SXのアセンブリファイルは、その内部パーツでない限り、そこにパーツファイル(部品図)は存在しません。「SOLIDWORKS」も同様で仮想構成部品はアセンブリ内にあるパーツデータとなりますが、内部パーツでない限り、アセンブリデータとしては、パーツデータのリンク先やアセンブリ内での座標、アセンブリ自体の属性情報などを持つのみとなります。
補足1
iCAD SXでは「内部パーツ」と「外部パーツ」というファイルを持つことができます。
- 内部パーツ:作業中のファイル内(同じファイル)にのみ存在するパーツ
- 外部パーツ:他の場所にあるiCADファイルを参照しているパーツ
SOLIDWORKSでは「外部構成部品」と「仮想構成部品」というファイルを持つことができます。
- 外部構成部品:外部に保存したファイルであり、SOLIDWORKSでは一般的な運用
- 仮想構成部品:個別の部品ファイルやサブアセンブリファイルではなく、アセンブリファイルの内部に保存されている
3D CADによる運用の場合、購入品で型式のみが必要で、2D部品図は不要、さらに、部品表作成時に、部品名、型式、メーカー名のみを必要とするようなケースであれば、そのデータを内部パーツとして持ったとしても問題ありません。
しかし、「誰もが同じモデルを使用する」、つまり“都度モデルを描かずに共有し、属人的なモデルにしない”ということであれば、アセンブリの外部にデータを持つべきだと筆者は考えます。
このように外部で共有する部品は、共通部品としてPDMシステムに登録すべきです。また、共通部品は機種や製品カテゴリーをまたいで、多く利用されるため、PDMシステム内で適切に管理するには、登録が正しく行われるためのアクセス権と、その登録や変更が正しく行われるための承認フローが必要になります。
補足2
iCAD SXの外部パーツと内部パーツについては、少々分かりにくいかもしれません。これらには次のような特徴があります。外部パーツを親アセンブリに内部パーツとして取り込んだ後、再び切り出して外部パーツ化すると、元のファイルとは原点が変わってしまいます。そして、その外部パーツを別の親アセンブリからも使用している場合、配置場所が意図しないで変わってしまうことがあります。そのため、“一度内部パーツとして取り込んだものは、切り出ししないよう運用ルール化することが必要です。他CADについても3D CADの特性を理解した運用とPDMシステムとの連携を検討する必要があります。
アクセス権
「01_標準部品」「02_購入品」フォルダに対し、“特定の設計者のみが登録可能”とするアクセス権の設定による排他制御も行えます。しかし、実際の運用を考えると、“設計者は誰でも登録可能とする”とした方が適しているケースもあるでしょう。
承認フロー
「01_標準部品」「02_購入品」フォルダの登録および修正に関しての承認フローですが、登録に関するアクセス権を設計者に付与する一方で、その登録や修正に対して検図/承認を行う“承認者”を設定することで、誤った登録などのミスを回避できます。
形状編集に関する運用ルール化も必要
購入部品などの場合、自社で使用している3D CADとは異なる3D CADデータであったり、中間ファイル形式で描かれていたりするケースも多々あります。さらに、これらのデータの中には、設計で必要とする以上に細部まで詳細に描かれているものもあるので、購入部品などの形状編集に関しても社内で運用ルールを決めておくべきでしょう。
では、使用部品の状態によって変化する、例えば、ストロークによって変化する部品はどうすべきでしょうか。この件については、次回解説します。お楽しみに! (次回へ続く)
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