ホンダが「協調AIマイクロモビリティ」、2030年の安全で自由な移動を描く:自動運転技術(2/2 ページ)
ホンダは2022年11月2日、人と分かり合うことを目指した協調人工知能(AI)「Honda CI(Cooperative Intelligence))と、これを搭載するマイクロモビリティを発表した。
CiKoMaとWaPOCHI
CiKoMaは、1人から数人までの乗車に対応した搭乗型の電動マイクロモビリティだ。必要なときに呼び出し、任意の場所で乗り捨てられる気軽な移動手段と位置付けている。実証実験では当初、ドライバーが乗車するため、運転支援システムによってドライバーをリスクに近づかせない、リスクを見落とさせないことで、ヒューマンエラーゼロを目指す。駆動用バッテリーには交換式のモバイルパワーパックを採用した。
リスクを見落とさせないようにするため、外界カメラによって環境を理解するとともに、交通参加者を認識し、行動予測や潜在リスクの推定を行う。さらに、室内カメラでドライバーの顔の向きや視線など「リスク認知状態」も把握した上で、リスク報知マネジメントを行う。場面に合わせて、ドライバーに視覚や聴覚でリスクを知らせる。ユーザーがリスクを認知している場合には警報を最小限に、ユーザーが見落としている場合にはリスクの方に向けて聴覚や視覚で意識を誘導する。
CiKoMaはユーザーが「○×に迎えに来て」というように呼ぶと迎えに来て、「スマートフォンを見ているのがあなたですか?」と質問しながら複数の人の中からユーザーを確認する。画像認識での信頼度が高い要素で、同じ特徴を持つ人が少なく(複数人のうちスマートフォンを見ている人が1人しかいないなど)ユーザーを特定しやすい情報に注目することで効率的にユーザーを確認する。
ジェスチャーと周辺環境を理解することで「あそこの自動販売機のところまで来て」というようなあいまいな指示に対応し、途中の指示変更にも応える。指示された場所での停止が難しいと判断した場合は、CiKoMaから別の場所を提案することも可能だ。
走行中はジョイスティックの操作で乗員が進路を指示することができる。指示がなければ直進、ドライバーの指示があればそれに従って右左折というようにシンプルな操作とした。カーブや右左折では自動で減速し、走行軌跡もシステムで生成する。
WaPOCHIは、ユーザーに追従する電動マイクロモビリティロボットで、荷物を運ぶのを手伝う。手のひらの静脈認証でユーザーを識別すると、服装や髪形、背格好などを画像認識して記憶、ユーザーの斜め後ろをついていく。ユーザーを含め周囲の歩行者の軌道を予測し、衝突を回避しながらスムーズに追従する。さらに、LED表示や合成音声で周囲に情報を示す。
上部に設置した複数のカメラによって周囲360度を立体的に捉え、人混みの中でユーザーを見失っても、記憶した特徴から探し出して追従を再開することもできる。似た特徴の歩行者が複数いる場合は、直近に観測したユーザーの位置から近い人物に追従する。今後は、ユーザーを先導して歩きやすさをサポートする機能も実現していく。
アグリサイエンスバレーでは、WaPOCHIは販売スタッフを対象とした追従走行試験からスタートし、段階的に一般ユーザーの買い物にも試験利用を拡大する。
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