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耐摩耗性は鍛鋼ロールの3〜5倍、耐クラック性は5倍向上の鉄鋼冷間圧延用鋳造ロール:FAニュース
日立金属は、鉄鋼冷間圧延用の鋳造ロール「CR2」の販売を開始した。従来の鍛鋼ロールより、耐摩耗性を3〜5倍、破壊じん性を2倍、耐クラック性を5倍向上しており、高強度鋼板への使用が可能だ。
日立金属は2022年9月20日、鉄鋼冷間圧延用の鋳造ロール「CR2」の販売開始を発表した。製造は子会社の日立金属若松が担い、2030年度に年10億円の販売を目標にする。
CR2は、従来の鍛鋼ロールより、耐摩耗性が3〜5倍、破壊じん性が2倍、耐クラック性が5倍向上している。熱間圧延用鋳造ロールにおける高い開発力と技術力を生かし、冷間圧延用鋳造ロールの大幅な性能向上に成功した。
自動車用鋼板の分野では、近年、高張力鋼(ハイテン材)や電磁鋼板の使用比率が増えている。これらの鋼板は強度が高いため、圧延用ロールには高い耐摩耗性や耐クラック性が求められる。しかし、これまで冷間圧延に使用されてきた鍛鋼ロールの大幅な性能向上は難しく、金属組織の均一性や高硬度が要求される冷間圧延に鋳造ロールは使われていなかった。
CR2は、遠心鋳造複合ロール材「NCW10」と連続鋳掛肉盛複合ロール材「NCW20」の2材質をラインアップする。NCW10は、耐摩耗性に優れた外層と強靭なダクタイル鋳鉄の内層で構成される。NCW20は、より耐摩耗性に優れた外層と強靭な鍛鋼の内層で構成される。粗度維持性を向上する高い耐摩耗性と耐事故性を備えることから、生産性の向上が期待できる。
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