投資額350億円のダイハツ京都工場の改良が完了、工程数15%減の効率化達成:工場ニュース(1/2 ページ)
ダイハツ工業は2022年10月7日、京都(大山崎)工場(京都府大山崎町)で新建屋の建設や改修を行い、竣工(しゅんこう)式を実施したと発表した。
ダイハツ工業は2022年10月7日、京都(大山崎)工場(京都府大山崎町)で新建屋の建設や改修を行い、竣工(しゅんこう)式を実施したと発表した。
京都(大山崎)工場は1973年に操業を開始。小型車の製造やトヨタ自動車からの受託生産などで累計640万台を出荷した。生産車種は「トール(トヨタ向けルーミー、スバル向けジャスティ)」「ブーン(トヨタ向けパッソ)」、トヨタ向け「プロボックス」だ。
今後の競争力の維持/向上や、CO2の排出削減、多様な人材の働きやすさのため、2018年9月から抜本的な改修を開始した。新建屋や改修に伴う設備投資は350億円で、今回新築した建屋の延床面積は4万2000m2。生産能力は工事前の13.4万台から23.0万台に増やす。従業員数も、同885人から1669人に増加した。ダイハツのモノづくりの考え方である「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」を進化させるとともに、省エネ化を徹底している。
今回、工程数を従来比15%削減するとともに1台の生産に必要な時間を30%短縮した。塗装工程におけるドライブースでの空調リサイクルや、新建屋に設置した太陽光パネルの活用などにより、CO2排出量は従来比で42%削減した。
これまで塗装時に発生する未塗着塗料を水を用いて回収していたが、段ボールフィルターを用いたコンパクトな装置を導入し、適度な温度や湿度の空調を再利用できるようにした。塗装工程のエネルギー使用量を半減するとともに、水使用量も削減する。静電誘導技術によって塗着効率を高めることにより、塗料やエネルギー使用量を減らした。
作業者にやさしい工程づくり
新設した4階建ての建屋に塗装や組み立て、検査の工程を集約した。1階に組み立て工程や検査工程を、2〜4階に塗装工程を配置した。熱源を4階に集中させることで、作業フロアに熱が漏れないなど熱マネジメントの効率を高める。
1台の車両に複数人で作業できる「SPS(Set Parts Supply System、1台分の部品をあらかじめセットして作業者に供給する方式)」の採用を拡大し、ラインサイドに設置する部品棚を減らした。さらに、車両の横送り化による工程長短縮も実施した。
車種や生産量に柔軟に対応できるよう、汎用工程を拡大した。ボディー工程では、シェルボディーやプレス部品のコンベヤー搬送を縮小し、AGV(自動搬送車)の採用範囲を拡大することで搬送ルートを柔軟に変更できるようにした。組み立て工程では、コンベヤーを地上に設置し、動力装置を地下に埋設するのをやめたことで工程長を柔軟に変更することが可能だ。
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