転職に関する実態調査、50代の約4割が転職を検討、転職経験の両極化も:キャリアニュース
リクルートが「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」第1弾の結果を発表した。転職のタイミングは、どの年代も「転職先が決まる前に前職を退職した」が約4割を占めた。また、50代の39.5%が転職を考えていることが分かった。
リクルートは2022年9月22日、「就業者の転職や価値観等に関する実態調査2022」(第1弾)の結果を発表した。
今回発表分の集計対象は20〜59歳の正社員、正職員7804人(2022年3月時点。転職経験者は転職前の就業形態が正社員、正職員)。初めに、年代別の転職経験状況を調査したところ、「転職をしたことがある」は20代が37.4%、30代が52.8%、40代が59.9%、50代が58.0%だった。
この結果から、日本の正社員は、40歳くらいまでに転職活動を終え、おおよそ6割程度が転職を経験してきたと考えられる。また、転職はしていないが転職活動をしていたという人もおり、例えば20代の転職未経験者は62.6%だが、そのうち19.9%は転職活動を経験している。つまり、転職活動をしたことがない人は4割程度にとどまっている。
20代から30代にかけての転職経験者の割合を見ると、15.4ポイント増加しているが、転職活動未経験者の割合は7.3ポイントの減少にとどまっている。30代で転職経験者が増えるのは、20代のうちに転職活動をしていた人が転職に成功する事例が増えることが主な要因と言えそうだ。転職活動をしたことがない人の割合を見ると、40代32.1%、50代35.8%と安定している。
一方、転職経験者は転職を重ねる傾向がうかがえる。20代転職経験者で、最も割合が高いのは「転職1回」(62.6%)だが、50代は「3回以上(3回と4回以上の合計)」が約半数(47.8%)を占めている。
50代の転職経験者は58.0%であるため、3回以上の転職経験者は50代のうちおよそ28%と算出される。これは、転職活動を全くしてこなかった約36%と比較しても遜色のない割合であり、日本の転職市場が両極化してきている可能性が考えられる。
続いて、今後の転職意向を年代別に見ると、年代が高くなるほど転職意向は低くなった。20代は65.9%が「転職意向がある」と回答し、そのうち「現在転職や就職をしたいと考えており、転職、就職活動をしている(情報収集程度の活動を含む)」の回答が29.1%を占める。
他の年代の「転職意向がある」は、30代が58.5%(現在、転職活動中は22.1%)で、40代は49.8%(同15.8%)、50代は39.5%(同10.1%)となっている。
転職経験者より転職活動経験者の方が転職意向が高い
転職経験の有無で転職意向状況を見ると、転職未経験者の転職意向が48.2%であるに対し、転職経験者は60.5%となり、転職未経験者よりも転職経験者の方が転職意向が高い傾向が見られた。
また、転職経験から今後の転職意向を見ると、転職経験者は「転職意向がある」が60.4%を占めているが、転職経験がなく、転職活動もしたことがないグループの「転職意向がある」は35.1%だった。転職未経験者で転職活動の経験があるグループは、「転職意向がある」が88.7%を占めている。
「転職経験なし、転職活動の経験あり」のグループは、「転職、転職活動共に未経験」や「転職経験者」のグループよりも、転職意向が高かった。この傾向は年代を問わず見られた。
続いて、転職経験者が転職先に入社したタイミングを調べた。どの年代も約4割が「前の勤務先を退職した後に、現在の勤務先が決まった」と回答した。
転職活動開始から入社までの期間を離職のタイミング別に見ると、「前の勤務先を退職した後に、現在の勤務先が決まった」人の転職期間は平均3.8カ月、「現在の勤務先が決まってから、前の勤務先を退職した」人の期間は平均4.0カ月で大差はなかった。
「前の勤務先を退職した後に、現在の勤務先が決まった」人のうち、転職活動開始から転職先に入社するまでの期間が「6カ月以上」の人は、20代が20.2%、30代が19.0%だが、40代と50代はどちらも25.9%となっており、年代が高いほど割合が高かった。
「現在の勤務先が決まってから、前の勤務先を退職した」を見ると、20代が19.5%、30代が21.7%、40代が23.5%と、「前職を退職した後に転職先が決定した」人とほぼ同じだった。しかし、50代は32.1%で、「前職を退職した後に転職先が決定した」を6.2ポイント上回っている。
「転職経験者の退職理由」のトップ3は、「仕事内容への不満」(29.7%)、「人間関係への不満」(29.2%)、「賃金への不満」(27.5%)だった。
また、転職意向がある人に「今後5年後の希望する勤務先条件」を尋ねたところ、1位は「業績が安定している」(40.5%)、2位が「福利厚生や給与等、制度や待遇が魅力的である」(37.6%)、3位が「自分のやりたい仕事(職種)ができる」(28.9%)だった。
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