関西の画像IoT開発拠点から生まれる新技術、らしからぬ事業創出も続々:製造業IoT(3/3 ページ)
コニカミノルタは画像IoT(モノのインターネット)基盤「FORXAI」の研究開発拠点「Innovation Garden OSAKA Center」(大阪府高槻市)を報道陣に公開し、FORXAIを活用した多数のソリューションを紹介した。
FORXAIを子どもたちの学習支援に応用
カメラなどを手掛けてきたコニカミノルタ"らしからぬ"分野への事業展開も行っている。1つが子どもたちの学習支援サービス「tomoLinks」だ。その中の授業診断サービスでは、授業中の画像と音声データを収集し、FORXAIを使って授業を分析する。
近年、ベテラン教員の退職が相次ぐ一方、経験の浅い若手教員が増加しており、指導力の伝承が課題となっている。教員と子どもたちの発話比率や挙手人数の推移、子どもたちの視線の動きの変化や、教員が子どもたちの机の間を巡回する机間指導の時間などから授業を可視化し、ベテラン教員と若手教員の授業を比較して指導力向上に役立てる。
先生AIアシストでは、自治体の学力調査や定期テストの結果をAIで分析して、子どもたちの強み、弱みを把握し、個々に合った課題を提示する。学習支援サービスはデジタル連絡帳など、教員の働き方改革推進をサポートするクラウドサービスとなっている。
コミュニケーションの見える化にも取り組んでいる。自治体、行政向けの多言語通訳サービス「KOTOBAL」と、医療機関向けコミュニケーションサービス「MELON」だ。いずれもスマートフォンやタブレット端末向けのAI翻訳のアプリケーションとして提供しており、KOTOBALは30言語、MELONは20言語に対応する。
大きな特徴はAIによる翻訳に加えて、通訳がビデオ通話でサポートする点だ。特に医療現場では患者が症状を伝えるだけでなく、病状の告知や治療費まで話題は幅広い。AIの翻訳だけでなく、人による通訳を挟むことで、より細やかな意思疎通を図る。AIによる翻訳も、他社のように一度英語に訳してから翻訳するのではなく、日本語と当該言語を直訳するため本来の意味に近い翻訳になっている。
AIによる翻訳を日本語に逆翻訳して、間違った伝え方がされていないか確認できる他、翻訳された会話はログとして保存されるため、訴訟などの問題が発生した時は記録として振り返ることができる。
当初は主に外国人の利用を想定したが、耳の不自由な人との筆談機能としての利用も広がっているという。
これらのように、コニカミノルタではFORXAIを軸としてさまざまなソリューションをパートナー企業と共創しながら生み出している。現在は、画像認識と自然言語処理技術を組み合わせて、場を理解して文章化するAIの開発も目指している。
例えば、男性がPCの前で作業している画像をAIが捉えたら、「男性がPCの前で作業している」という文章を作成する。監視カメラの映像の文章化などを見込んでいる。
「これまではあらゆる領域に取り組んできたが、これからスケールアップを目指して、防災や健康などある程度領域を決めて集中していきたい」(江口氏)
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