アームが「Neoverse」のロードマップ刷新、NVIDIA「Grace」採用の「V2」を発表:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
アームは、クラウドやサーバなど向けのプロセッサコア「Neoverse(ネオバース)」のロードマップに追加した新たなプロダクトについて説明した。
チップレット構造に対応した「Arm AMBA CHI」も開発
Neoverse V2の正式発表に合わせて、Vシリーズ、Nシリーズ、Eシリーズそれぞれのロードマップも更新した。
2023年以降に投入するVシリーズの次世代プロダクトは、Neoverse全体の将来的なプラットフォームとして示唆されていた「Poseidon」がベースになる。一方、Neoverseのプロダクトで初めてArmv9を採用した「Neoverse N2」を2021年に投入しているNシリーズは、2023年以降に次世代プロダクトを投入するとしているがPoseidonという表記はなくなった。
Eシリーズは、第1世代の「Neoverse E1」が「Cortex-A53」ベース、第2世代の「Neoverse E2」が「Cortex-A510」ベースなど、いわゆるbig.LITTLE構成に当たるLITTLEコアを採用している。2023年以降に投入する次世代プロダクトも同様にLITTLEコアを採用する可能性が高い。
また、3シリーズとも第2世代品からは、バックプレーンのシステムIPについては共通化を進めていく方針だ。第2世代品ではCMN-700をベースにDDR5/PCI Express 5.0/CXL 2.0の対応をうたっており、次世代プロダクトではDDR5/PCI Express 6.0/CXL 3.0に対応することを想定している。
この他、1つのパッケージに複数のチップレットを組み込むチップレット構造を採用する事例が拡大していることに対応し、チップレット接続のオープン規格であるUCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)とインターコネクト規格のCXLを橋渡しする「Arm AMBA CHI」の開発も進めている。
アーム 応用技術部 ディレクターの中島理志氏は「アームのアーキテクチャは、スマートフォンをはじめとするさまざまなエッジ端末から5Gなどの通信基地局、クラウド、そしてNVIDIAのGraceを搭載するHPC(High Performance Computing)に至るまでエンドツーエンドでカバーできるようになった。組み込み機器向けで25年間培ってきたノウハウをインフラ向けに展開できているという事実は、アームならではのユニークさといえるだろう」と述べている。
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