Armで最も勢いのあるインフラ向け事業、AWSやAzureなどクラウドでの採用が急拡大:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
アームがサーバ向けプロセッサ「Neoverse」を中核とするインフラ向け事業の戦略を説明。クラウドやデータセンター、5Gなどの無線通信インフラ、ネットワーク/エッジ機器、スーパーコンピュータなどHPCの4分野で着実に採用を広げており、特にAWSやマイクロソフトの「Azure」といったパブリッククラウドへの浸透で手応えを得ているという。
アームは2022年7月8日、横浜市内で会見を開き、サーバ向けプロセッサ「Neoverse(ネオバース)」を中核とするインフラ向け事業の戦略を説明した。クラウドやデータセンター、5Gなどの無線通信インフラ、ネットワーク/エッジ機器、スーパーコンピュータなどHPC(High Performance Computer)の4分野で着実に採用を広げており、特にAWS(Amazon Web Services)やマイクロソフト(Microsoft)の「Azure」といったパブリッククラウドへの浸透で手応えを得ているという。
英国本社Armでインフラストラクチャ事業部門 シニア・バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるクリス・バーギー(Chris Bergey)氏は「今Armの中で最も勢いのある事業は車載、そしてインフラだ」と語る。日本市場では、スーパーコンピュータランキング「TOP500リスト」で4期連続で1位になった「富岳」向けのプロセッサ「A64FX」で一躍名を知らしめたArmのインフラ向けプロセッサIPだが、現在は先述した4分野で着実に採用を広げつつある。
まずクラウド/データセンター分野については、2025年までにサーバ市場の70%をクラウドベンダーが運用するようになるとともに、電力消費の削減も強く求められるようになるという。「低消費電力という観点ではArmには強みがある」(バーギー氏)。また、従来のx86系サーバとは異なり、CPUとGPUやDPU(Data Processing Unit)などのヘテロジニアスな構成が増えており、このトレンドでもArmの強みを生かせると見ている。
5Gなどの無線通信インフラ分野では、Open RANなどによる仮想化が進む中で上位スタックを汎用サーバに押し出すトレンドがあり、ここでもArmの採用が検討されている。ネットワーク/エッジ機器の分野でも、コロナ禍を契機に拡大したリモートワーク需要を中心に映像データの利用が拡大しており、そこで求められるSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)の潮流にArmが適合しているとした。HPC分野についても、富岳の事例を皮切りに、EUや韓国、インドなどの政府投資によるHPC開発プロジェクトで協力を求められるようになった。
Neoverseの開発ロードマップについては、2021年4月に発表した「Neoverse V1」と「Neoverse N2」から新たな追加はない。1年経過した現在は、市場にこれらのプロセッサIPを採用した製品が登場し始めているところだ。例えば、Neoverseの最初のIPプロダクトとなった「Neoverse N1」は、AWSの「Graviton2」やAmpere Computingの「Altra/Altra Max」、インテルのIPU(Infrastructure Processing Unit)「Mount Evans」などに採用され、それぞれ製品が出荷されている。Neoverse V1を採用するAWSの「Graviton3」を用いたサービスは、2022年5月に一般提供が始まったところだ。Neoverse N2を採用するマーベル(Marvell)の「Octeon 10」の出荷予定も2021年下期となっている。
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