5軸形状を造形可能、量産対応できるパウダーDED方式金属3Dプリンタ発売:金属3Dプリンタ
日本電産マシンツールは、パウダーDED方式の金属3Dプリンタ「LAMDA500」の販売を開始した。2軸テーブルを標準搭載し、5軸形状を造形できる。最大造形サイズは500×500×500?で、航空宇宙、自動車など多様な金属部品の形状に対応する。
日本電産マシンツールは2022年9月1日、パウダーDED方式の金属3Dプリンタ「LAMDA」シリーズの中型機「LAMDA500」を発売した。
LAMDAシリーズは、不活性ガスシールドで高品質な金属造形ができる「ローカルシールドノズル」と、長時間安定して高精度な造形ができる「モニタリングフィードバックシステム」の2つの独自技術を備える。
ローカルシールドノズルは、ノズルを改良した結果、従来に比べてシールドエリアが45倍に拡大。造形速度と品質が向上している。また、積層状態をAI(人工知能)技術で判定する機能を追加した。積層時に発生する異常を素早く検出し、未然に積層ミスを防ぐ。こうした機能により、真空チャンバーなどの周辺装置を追加しなくても、効率良く量産や実用向けの積層造形物を生産できる。
最大造形サイズは500×500×500mmで、航空宇宙、自動車、建設機械などに用いる多様な金属部品の形状に対応する。また、2軸テーブルを標準搭載しており、5軸形状の造形ができる。
精度と剛性の高さで評価されているニデックオーケーケー(前OKK)の5軸制御マシニングセンタを母機として、金属3Dプリンタに必要な機能を追加した。これにより、複雑な形状の金属部品を積層造形可能な、信頼性の高い中型機を早期に開発できた。
DED方式の金属3Dプリンタは、金属粉末をノズルから連続噴射し、レーザーを照射して基材とともに溶融、凝固させて造形する。近年、複数の異なる材料で造形した複層材料部品や、金属材料の組成を少しずつ変化させながら造形する傾斜機能材料の開発などに使われ始めている。
同社は、LAMDAシリーズをこうした分野に提案しつつ、工業製品への金属積層物の利用が進んでいる欧米市場にも展開していく。また、東京ビッグサイトで11月8〜13日に開かれる「JIMTOF2022」でLAMDA500の実機を初披露する。
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