徹底した熱対策で高精度な加工が可能な門形マシニングセンタの上位機種:FAニュース
日本電産マシンツールは、門形マシニングセンタの上位機種「MVR-Hx」シリーズの販売を開始した。主軸の熱伸びを抑える軸心冷却機能や、環境温度変化を受けにくい主要構造体を採用するなどの熱対策により、高精度な加工ができる。
日本電産マシンツールは2021年10月12日、門形マシニングセンタの上位機種「MVR-Hx」シリーズの販売を開始した。「MVR-Cx」シリーズに続く大形工作機械のラインアップ拡充により、多様な大物部品加工ニーズに対応する。
熱変位を抑えた使いやすい機械をコンセプトに開発したMVR-Hxシリーズは、主軸を内部から冷やす軸心冷却機能を標準装備する。これにより、8000min−1の高速回転時でも工具の先端位置を安定させ、仕上げ加工時の工具間段差を3.5μm以下に抑える。
オプションのギア駆動主軸では、4000min−1で最大トルク3430N・mの重切削加工が可能。主要構造体に鋳物を用いることで剛性を高め、高トルクでも安定した加工に対応するほか、早送り速度がY軸35m/分、Z軸20m/分と高速で、生産性の向上に貢献する。
また、温度制御媒体を封入したサーモスタビライザコラムの採用やクロスレールの断熱対策、各軸位置決めスケールの最適配置、空間誤差補正機能など、熱や経年が加工精度にもたらす影響を排除する設計となっている。これらにより、機械の姿勢を正確に把握して、さらに高精度な加工が可能になる。
オペレーターの作業効率を向上する工夫として、加工点に近い場所で操作できるように操作盤の可動範囲を広くした。操作支援機能「NidecNavi」も搭載する。
さらに、ユーザーを迅速にサポートする独自IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「DIASCOPE」や充実したパッケージオプションなど、顧客が安心して運用できるサポート体制や機能を提供する。
同シリーズは「MVR25Hx」「MVR30Hx」「MVR35Hx」「MVR40Hx」「MVR45Hx」の5モデルを用意しており、主軸回転速度は20〜8000min−1となっている。オプションで40〜1万2000min−1、11〜4000min−1、17〜6000min−1に対応する。
関連記事
- 三菱重工工作機械は「日本電産マシンツール」に社名変更
三菱重工業から日本電産に株式譲渡された三菱重工工作機械は、2021年8月2日に「日本電産マシンツール」へ社名変更を行った。 - 日本電産が三菱重工工作機械を買収、「工作機械事業をグローバルの主役に」
日本電産は2021年2月5日、三菱重工業(以下、三菱重工)グループの工作機械を手掛ける三菱重工工作機械を買収したと発表した。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。 - 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。 - アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.