混載デバンニングを自走ロボットで自動化、独自取り出しハンドはノウハウの塊:国際物流総合展2022
川崎重工業は「国際物流総合展2022」において、2022年3月に発売したデバンニングロボット「Vambo」を展示している。
川崎重工業は「国際物流総合展2022」(2022年9月13〜16日、幕張メッセ)において、2022年3月に発売したデバンニングロボット「Vambo」を展示している。
3次元AIビジョンがケースの形状などを認識
Vambo(Vanning Mobile Robot)は最大可搬80kgの多関節ロボット「RS080N」に中西金属工業と共同開発したAGV(無人搬送車)を組み合わせたパッケージである。いずれも新開発の3次元AIビジョンシステムとケース取り出しハンドにより、最大30kg、1時間に最高600個の荷降ろしができる。対応ケース寸法は最大650mm×600mm×550mm、最小250mm×280mm×130mm。
トラックバースでコンテナから荷物を下ろすデバンニング作業は重い荷物を扱ったり、夏場はコンテナ内の温度が上昇したりと作業者への負担が高く、人材の定着が課題となっている。Vamboは自走できるため目的のコンテナまで移動し、壁を認識しながらコンテナ内に進入して荷降ろしできる。また、無軌道型のAGVのため、作業環境の変化にも柔軟に対応する。手動操作で目的地まで行くことも可能だ。
3次元カメラとAI機能を付加したビジョンシステム「K-VStereo」により、ケースの形状や置き方を認識し、中心位置を割り出して混載コンテナでもさまざまな形状、サイズのケースの荷降ろしを行う。斜めになったケースなどの荷降ろしもできる。
プログラミングなどは必要なく簡単なボタン操作で稼働、ロボットが稼働中はAGVがアウトリガーを出して車体を固定し、転倒を防止する。
コンパクトで高機能な取り出しハンド
Vamboに搭載した独自開発の取り出しハンドは、「ノウハウの塊」(説明員)とされる。常に改良を加えていくため内製した。「狭い場所で動くのであまり大きなハンドにはできない。箱のサイズが幅広く、ハンドが大きいと小さな箱が取れない。コンパクトで高機能なハンドが求められている」(説明員)。
吸着ユニットは4つのエリアに分かれており、それぞれが動くことで大小さまざまなケースに対応する。縦に最大300mmまで伸ばして、ケースを1度に2個把持することもできる。
今回の展示ではシリンダを用いて吸着ユニットを縦に伸ばしているが、実際の納入時にはモーター制御を採用する。「構造上、モーターを入れるスペースを取るのが難しかった。300mmまでは自由に位置を合わせられるようになった」(説明員)。
ハンド部分にある2本のベルトは吸着ユニットと連動して駆動し、細長いケースや重たいケースも奥に引き込んで安定的に搬送する。「吸着だけでは安定しない。2つの力によって安定して運ぶことができる」(説明員)。
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