処理能力従来比4倍の最新制御装置の複合加工機、ブラザーが専用搬送装置と同時発売:工作機械
ブラザー工業は、マシニングセンタ「SPEEDIO」から、最新の制御装置「CNC-D00」を搭載した小型複合加工機「M200Xd1」「M200Xd1-5AX」と、SPEEDIO専用ローディングシステム「BV7-870Ad」を発売した。
ブラザー工業は2022年9月1日、マシニングセンタ「SPEEDIO」から、最新の制御装置「CNC-D00」を搭載した小型複合加工機「M200Xd1」「M200Xd1-5AX」と、SPEEDIO専用ローディングシステム「BV7-870Ad」を発売した。価格(税込み)は、M200Xd1が1257万円、M200Xd1-5AXが1402万円、BV7-870Adが348万円となる。
「M200X3」の後継機となるM200Xd1は、CPU能力を強化し、従来の4倍となる処理能力を備えた制御装置CNC-D00を搭載する。ラインアップには、22本だった工具を最大28本搭載できる仕様を追加。工具交換の手間を削減し、省人化に対応する。
制御装置のCNC-D00は、タッチパネル式の15インチ液晶を搭載し、直感的に操作できる。また、全操作の起点となるホーム画面を新設し、インタフェースの利便性を高めた。使用頻度の高い情報を集約化し、消費電力や稼働率などの生産に関係する情報を見える化するサポートアプリも搭載する。
従来の画面構成を引き継いでおり、以前と変わらない操作にも対応する。電卓機能や、取扱説明書などのPDFファイルを参照するファイルビュワーなど、便利ツールにより作業効率を向上できる。
複合加工と同時5軸加工制御に対応したM200Xd1-5AXは、工具に対して、ワークの加工表面が最適な向きになるよう、5軸を同時に作動して加工できる。
オプション装置となるBV7-870Adは、自動で加工部品の搬入と搬出ができる。SPEEDIO専用の垂直多関節型ローディングシステム「BV7-870」の後継機で、CNC-D00に対応。「S300Xd1」「S500Xd1」、M200Xd1の3機種に搭載できる。
SPEEDIO専用の設計で、4軸の構造を採用。ローディングシステムはSPEEDIO本体側面に架台を直結しており、水平方向にアーム本体を動作させる駆動機構「TR軸」、2つのアームを回転させる駆動機構「J1軸」「J2軸」、アーム先端に取り付けたハンドを回転させる駆動機構「J3軸」の計4軸で構成される。
アームの中にモーターや配線、配管などを収め、省スペース化した。工場設備のレイアウトに合わせ、機械側面の右手、左手のどちらにも取り付けできる。加工部品の着脱は側面から可能だ。制御コントローラーをSPEEDIO本体背面の制御盤内に内蔵するため、機械前面がフリーエリアとなって従来通りのオペレーションができる。
BV7-870AdをM200Xd1に取り付けると、一度の作業で旋削加工とマシニング加工に対応でき、立ち上げ工数を削減する。機械側面に設置できるため、省スペース化につながる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 進む製造機械の「知能化」、学習済みAIを搭載する動きが拡大へ
AI(人工知能)の活用が広がりを見せている。こうした中で、新たな動きとして定着が進んでいるのが、工作機械や射出成形機など、製造機械へのAI機能の組み込みである。2022年はこうした動きがさらに加速し、AIの学習までを機械メーカーが担って出荷する動きが進む見込みだ。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - 工作機械の共通インタフェース「umati」とは何か?
工作機械のスマート化に向けて注目されている通信規格が「umati」である。本連載では「umati」とはどういう規格なのか、技術的にはどういう背景があるのか、どのような活用シーンがあるのかについて、紹介する。第1回となる今回は「umati」とは何かをテーマに概要を取り上げる。 - 工作機械も4.0へ、シェフラーとDMG森精機が描く「マシンツール4.0」
ドイツのインダストリー4.0が大きな注目を集める中、工作機械にもIoTを積極的に活用する動きが出てきている。軸受部品を展開するシェフラーと、工作機械メーカーのDMG森精機は工作機械のインダストリー4.0対応を目指す「マシンツール4.0」プロジェクトを推進している。 - アップルVSサムスン訴訟を終わらせた日本の工作機械の力
知財専門家がアップルとサムスン電子のスマートフォンに関する知財訴訟の内容を振り返り「争う根幹に何があったのか」を探る本連載。最終回となる今回は、最終的な訴訟取り下げの遠因となった「新興国への技術移転」の問題と「なぜ米国で訴訟取り下げを行わなかったのか」という点について解説します。 - 製造業がDXを進める前に考えるべき前提条件と3つの戦略
製造業にとっても重要になる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に注目が集まっている。本連載では、このDXに製造業がどのように取り組めばよいか、その戦略について分かりやすく紹介する。第1回の今回は、DXを進める中で必要になる前提条件と3つの戦略の概要について紹介する。