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3Dプリンタ用ダイス鋼系金属粉末を開発、150mm角超の大型造形が可能に:金属3Dプリンタ
大同特殊鋼は、SLM方式3Dプリンタ用のダイス鋼系金属粉末「LTX」を発表した。鋼材SKD61を3Dプリンタに適した組成に調整しており、150mm角を超える大型品の造形が可能だ。
大同特殊鋼は2022年8月24日、SLM(レーザー溶融)方式3Dプリンタ用のダイス鋼系金属粉末「LTX」を発表した。同年9月から販売を開始し、2023年度に1億円の売上高を目標にする。
LTXは、同社のSLM方式3Dプリンタ用金属粉末ブランド「DAP-AM」シリーズの第2弾となる。金型に広く用いられている鋼材SKD61を、3Dプリンタの造形に適した組成に調整した。
LTXでは、成分調整により、DAP-AMシリーズ第1弾の「HTC」と比較して、造形品に発生するひずみを80%以上低減して割れを抑制した。その結果、150mm角以上の大型品の造形が可能になった。造形品の予熱温度を調整する以外に、特別な処理は不要だ。
LTXで造形した金型は、SKD61の金型と同等の性能が得られ、3D造形による金型冷却のメリットも享受できる。一部の3Dプリンタメーカーでテストしたところ、良好な造形結果が得られた。なお、LTXは特定化学物質のコバルトを含有していない。
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