労働力不足解決のため、AMR導入など「倉庫業務の近代化」への関心高まる:物流のスマート化
ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションは2022年9月5日、倉庫業務における技術導入などの現状をグローバルで調査した「未来の倉庫業務に関するグローバル調査 2022」の結果を発表した。
ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションは2022年9月5日、倉庫業務における技術導入などの現状をグローバルで調査した「未来の倉庫業務に関するグローバル調査 2022」の結果を発表した。労働力不足を解決するために、モバイル端末やAMRなどの技術導入を通じて「倉庫業務の近代化」を進める動きが伺えた。
コロナ禍で出荷量が20%増加か
調査期間は2022年1月〜2月で、調査対象者は製造や小売り、運輸、物流、卸売業などに従事する企業幹部や従業員で、合計1551人。北米や中南米、ヨーロッパ、日本を含むAPAC(アジア太平洋)の地域を対象に実施した。
調査結果からは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるサプライチェーンの混乱などを受けて、サプライチェーンのレジリエンス強化の必要性を認識し、「倉庫業務の近代化(モダン化)」を進めようとする動きが見られたという。
近代化の具体的な計画としては「倉庫内の在庫や資産の可視化」や「サプライチェーン全体の可視性向上」といった見える化に関する投資の他、「ワークフローの自動化」「ロボティクスへの投資」「分析と意思決定の自動化を支援するソフトウェアへの投資」などが挙げられる。「分析と意思決定の自動化を支援するソフトウェアへの投資」については、データの予測/分析や機械学習、端末データ管理に関するソフトウェアなどが想定されている。
データ収集や情報フロー、意思決定の高速化を図るため「センサー型技術」への関心も高まっている様子も伺えるという。こうした技術は、例えば、出荷時の仕分けワークフローに用いる固定式産業用スキャナーやラベルなどを確認するマシンビジョンシステム、RFIDシステム、RTLS(位置測位システム)などが該当する。
また、コロナ禍による影響や消費者行動の変化に伴って、Eコマースの需要が増大している。法人/消費者向けの出荷とメーカーからの直接出荷において、過去2年間で出荷量は以前より平均20%以上増加したことが分かった。その結果、倉庫業者は出荷量の増大への対応と、SKU(在庫管理品目)を増やすことを目指しているという。加えて、返品管理業務への対応への関心も高いことが分かった。
モバイル端末普及も進む
倉庫業務においては労働力不足が喫緊の課題となっている。そのため、多くの企業が技術導入による倉庫業務改革に関心を寄せている。
従業員側から見ても、特にデジタルネイティブ世代において、企業における技術採用への期待値が高まっている。企業における技術活用の程度は、勤務する企業を人々が選ぶ際の重要な判断材料となっている可能性もある。このため、企業幹部の約66%が「既に自動化を検討している、あるいは3年以内に導入予定である」として、労働力不足を解決するための取り組みを進めている。
すでに多くの企業では、従業員にバーコードスキャナー内蔵モバイルコンピュータやウェアラブルコンピュータなど、多種多様なモバイル端末を配布することで業務処理能力の向上を図っている。モバイル端末の通話機能やメッセージングソリューションを活用することで、従業員同士のコラボレーション促進も期待できる。
ピッキングや出荷業務の効率向上に貢献する、自律走行搬送ロボット(AMR)への期待も高まっているという。また、AMRなどロボットの導入に関して、企業幹部の間でRaaS(Robot as a Service)への期待感が高まりつつある様子も伺える。RaaSを活用することで、企業経営層は大規模な設備投資を行う必要がなくなる上、市場の需要動向に応じて柔軟な設備拡張も行えるようになる。
今後5年間の倉庫業務における技術導入の展望として、ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーションの日本法人であるゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン 社長の古川正知氏は「労働力確保が難しい状況であることは変わらない。技術導入によって、現場作業員の不要なタスクを削減して、優先順位の高い顧客業務に割り当てる人員の最適化を進める必要がある」と語った。
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