通信の暗号化を後付けで設定可能、ソースコードの改修不要なソフトウェア:IoTセキュリティ
NECは、Windows向け暗号化ソフトウェア「軽量暗号 組込み改修不要化オプション」を製品化した。「軽量暗号 開発キット」とともに機器に導入すると、後付けでも通信アプリケーションの改修なしに、通信を暗号化できる。
NECは2022年8月16日、後付けで組み込みできる、Windows向け暗号化ソフトウェア「軽量暗号 組込み改修不要化オプション」の製品化を発表した。既存製品の「軽量暗号 開発キット」とともに機器にインストールするだけで、アプリケーションのソースコードを変更しなくても通信を暗号化できる。同年10月1日からの提供を予定しており、Linux向けは既に同年4月1日から提供している。
本製品は、従来の暗号化ソフトウェアとは異なり、既存の機器に組み込む場合も通信アプリケーションの改修が不要だ。システム提供者が店舗や工場機器の遠隔制御用IoT(モノのインターネット)システムを構築したり、機器メーカーが営業秘密や個人情報を取り扱うFA機器、医療機器とPC用ツール間の通信を保護する場合に適する。
また、暗号化する通信と暗号化しない通信を指定できるため、レガシー機器と最新機器が混在したシステムにも導入できる。1対1のユニキャスト通信だけでなく、1対多のマルチキャスト通信も暗号化できる。
軽量暗号 開発キットと組み合わせることで自動認証機能が有効になり、不正な機器との暗号化通信を防ぐ。機器のIDにひも付けて暗号鍵を管理する「SecureWare/Credential Lifecycle Manager」と連携すれば、機器やサーバを停止することなく、暗号鍵を定期的に更新できる。
工場、ビル、店舗、住宅などのFA機器、カメラ、医療機器、ヘルスケア機器などIoTシステムに適する。
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