DXジャーニーを推進するUDトラックス、データ主導型モノづくり実現でPTCと協業:製造業DX(1/3 ページ)
UDトラックスは、同社のDXジャーニーの推進を加速すべく、2022年5月12日に3D CADやPLM、IoTプラットフォーム、ARソリューションなどを手掛けるPTCジャパンとの協業を発表した。今回、両社が協業に至った背景や具体的な取り組み内容などについて、UDトラックスの担当者に話を聞いた。
「100年に一度の大変革期」を迎える自動車業界。乗用車はもちろんのこと、トラックをはじめとする商用車においてもその変化の波が押し寄せている。例えば、「CASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)」の取り組みも、こうした変化を象徴する動きの1つだ。このうち、特にコネクテッド、自動化、電動化の3つは、商用車にとっても大きなトレンドであり、商用車メーカー各社が研究開発や実証実験などを進めている。また、電動化に加え、製造時のCO2排出量削減など2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みも急務となっている。
さらには、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)や地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンの混乱、原材料の高騰、長引く半導体不足などが、商用車業界においても車両開発へ大きな影響をもたらすと同時に、商用車メーカー各社はこれら課題の解消に向けた難しいかじ取りを迫られている。
こうした変化への対応や課題に直面する商用車メーカーの中で、積極的にITを活用してデータドリブンカルチャーの確立を目指し、ビジネストランスフォーメーション(BX)、そして、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現へとつなげていくDXジャーニーを推進しているのが、埼玉県上尾市に本社を構えるUDトラックスだ。
UDトラックスは、このDXジャーニーの推進を加速すべく、2022年5月12日に3D CADやPLM、IoT(モノのインターネット)プラットフォーム、AR(拡張現実)ソリューションなどを手掛けるPTCジャパンとの協業を発表した。今回、両社が協業に至った背景や具体的な取り組み内容などについて、UDトラックスの担当者に話を聞いた。
商用車ならではの難しさ、膨大なバリエーションにどう対応するか?
商用車の開発は、一般的な乗用車とはまた別の難しさを秘めている。それは、個人利用ではなく、物流をはじめとする商用利用が目的であり、安全性や品質、燃費の良さ、使い勝手などが全て顧客のビジネスに直結するという点だ。それ故、自動化や電動化も単に技術的に実現すればよいという話ではなく、商用利用を大前提とし、顧客視点に立った商品戦略、モノづくりが求められる。
さらに、UDトラックスが主に手掛ける大型トラックの場合、同じモデルを大量生産する乗用車とは異なり、多品種少量生産が基本で、カスタマイズ要素が強く、サプライチェーンが非常に複雑だという。「UDトラックスの場合、トラックのベースモデル(標準車)だけでも300〜400種類あり、そこからカスタマイズされるのでバリエーションは膨大な数になる。ここをいかに効率化し、生産性や品質を高め、コスト削減につなげていくかが重要なチャレンジとなる」と、同社 デジタルソリューション・IT部門 開発・調達ディレクターの原田優氏は語る。
UDトラックスが推進するDXジャーニー
このチャレンジにおいて、重要となるのがエンジニアリングチェーンとサプライチェーンの連携だ。UDトラックスは、双方のシームレスなデータ連携の動きを加速するために必要となる新たなデータプラットフォームの構築をPTCとの協業によって実現し、BX、DXへとつなげようとしている。
UDトラックスでは、DXのことを“顧客や社会のニーズを起点としてデータとデジタル技術を利活用してビジネスモデルを変革(BX)するとともに、組織、企業文化/風土を変革し、競争優位を確立すること”だと定義している。そして、UDトラックスが掲げるパーパス(存在意義)「Better Life」を実現する上で欠かせない重点領域として、DXジャーニーを推進。生産計画や品質管理の情報などに関するビッグデータの一元管理、コミュニケーションの見える化やデジタル化、データを用いて定型化された事実法則に基づいた意思決定を行うエビデンスベースドマネジメント(EBM)の採用などを通じたデータドリブンカルチャーの確立を目指すとしている。
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