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広帯域高周波アンプを用いた高速パルサーを開発医療機器ニュース

理化学研究所とアールアンドケーは、広帯域高周波アンプを用いた高速パルサーを開発し、時間応答が早く安定した高電圧パルスを発生させることに成功した。パルスを6つの周波数成分に分解し、調整後に合成して目的の波形を再構築する。

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 理化学研究所は2022年7月20日、アールアンドケーと共同で、広帯域高周波アンプを用いた高速パルサーを開発し、時間応答が早く、安定した高電圧パルスを発生させることに成功したと発表した。

 今回の研究では、X線自由電子レーザー(XEFL)施設「SACLA」のより安定した稼働を目的として、新しいパルサーの開発を試みた。

 まず研究グループが着目したのは、半導体アンプだ。信号源である種パルスを半導体アンプで増幅すると、増幅や合成の過程で周波数に依存して生じる現象により、元のパルス波形が維持できない。

 そこで、幾つかの単一周波数の波を適切に重ね合わせると任意の波形をほぼ再構築できるという、フーリエ変換の原理を利用した。パルスを6つの周波数成分に分解してそれぞれの強度や時間タイミングを独立して調整した後に再構築することで、波形の乱れを修正する手法を開発した。

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周波数を分割した波形調整装置[クリックで拡大] 出所:理化学研究所

 試作機で波形を調整した結果、パルス幅2ナノ秒、パルス波高0.4kV、パルス平坦度0.8%の矩形波を発生させることができた。

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6つの異なる周波数の波で再構成された矩形パルス 出所:理化学研究所

 また、30ナノ秒間隔でパルスを並べたマルチパンチ構造のパルス生成にも成功。従来型のパルサーでは発生することが難しい、複雑な構造のパルスに対しても応用可能であることが示された。

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マルチバンチ構造のパルス発生[クリックで拡大] 出所:理化学研究所

 SACLAでは、電子銃で発生したマイクロ秒の長いパルスビームからナノ秒の短いパルスビームを切り出し、X線レーザーの発生に使用する。従来は、電子ビームの切り出しにアバランシェダイオードと呼ばれる高速スイッチを用いた高電圧パルサーが用いられてきたが、パルス出力が安定していないことや、パルス波形の調整が困難といった欠点があった。

 今回の研究成果は、任意のパルス波形を生成可能で、電圧などのパルス特性の拡張性が高いことから、SACLAのパルサーの信頼性を高めるだけでなく、高速高出力パルサーによるビームのハンドリングが不可欠な粒子加速器や光学レーザーなど、さまざまな分野における応用が期待される。

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