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双腕自律型ロボットアームによるISS船外作業実験を2023年に実施へ:ロボット開発ニュース
GITAIは、NanoracksおよびNASAと共同で、1.5m級双腕自律ロボットアームを使ったISS船外作業実験を2023年に予定する。宇宙空間での自律的な保守、組み立て、製造作業について技術実証する。
GITAIは2022年7月11日、NanoracksおよびNASA(米国航空宇宙局)と共同で、1.5m級双腕自律ロボットアームを使ったISS(国際宇宙ステーション)船外作業実験を行うことを発表した。2023年に実施予定で、ISSのエアロックモジュール「Bishop(ビショップ)」の宇宙船外環境にロボットアームを設置し、宇宙空間での保守、組み立て、製造作業の自律制御について技術実証する。
GITAIのロボットアームは、8自由度のアームを2本備え、3次元空間においてさまざまな姿勢や動きを取れる。重要なチェックポイントまで完全に自律的に動作し、そこからさらにオペレーターが承認した動きをする。ツールの把持交換、部品の取り付け、コネクターの接続といった作業ができる。
2022年2月に、JAXAの8m級熱真空チャンバーにおいて技術実証に成功し、NASAの技術成熟度レベル「TRL(Technology readiness levels) Level 6」に達し、地上でのシステムとして技術成立性を確認した。
2023年の船外実証では、ORU(軌道上交換ユニット)の操作、ツールの交換、ネジの付け外し、サーマルブランケットの取り扱い、コネクターの付け外し、アーム同士の協調作業を予定している。「TRL Level 7」をクリアし、宇宙空間でのシステムとしての技術成立性を確認することを目指す。
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