自社基盤のガバナンス強化に、クラウドサービスの統一管理プラットフォーム:製造ITニュース
マルチクラウドインフラの自動化などを手掛けるHashiCorpは2022年8月3日、同社の国内事業戦略に関する説明会をオンラインで開催した。さまざまなクラウドサービスの運用、開発をアプリケーションを通じて統一プラットフォーム上で実行できるようにする。
マルチクラウドインフラの自動化などを手掛けるHashiCorpは2022年8月3日、同社の国内事業戦略に関する説明会をオンラインで開催した。さまざまなクラウドサービスの運用、開発をアプリケーションを通じて統一プラットフォーム上で実行できるようにする。
プロビジョニングやネットワーク管理アプリを提供
HashiCorpは企業のアプリケーション開発チーム、プラットフォームチームなどが活用する、AWSやAzureなど多くのクラウドサービスについて、統一的に運用、開発するためのプラットフォームを展開する企業である。プラットフォーム上では、クラウドサービス活用時に必要なリソースを予測して備えるプロビジョニングや、サービス間の通信管理、制御、セキュリティ面ではシークレットマネジメントやセキュアなリモートアクセスへの対応を実現するアプリケーションなどを提供する。
HashiCorpのサービスを導入した企業は、プロダクトの市場投入スピードの向上や、時間/工程削減やクラウドサービスの運用/開発ツール統合によるコスト低減、マルチクラウド利用に関する各種リスクの削減といった効果が見込める。
現在、同社は2012年に米国で起業しており、現時点でグローバルの顧客数は3000社以上になる。日本市場への参入以来、国内顧客数も順調に増加しており、スタートアップの他、DX(デジタルトランスフォーメーション)やITシステムの内製化などに取り組む大手企業からの引き合いも多いという。
アイシンも基盤の管理運用に導入
説明会ではアイシンの担当者も登壇し、HashiCorpが展開するアプリケーションの1つで、クラウドサービスのプロビジョニングと管理を行う「Terraform」の導入事例も紹介された。
アイシンは現在、CSS(コネクティッド&シェアリングソリューション)カンパニーを立ち上げ、自動車の移動に関するさまざまなサービスを展開している。これまでカーナビゲーションシステムの開発で培ってきた技術に加え、車両の位置情報や地図情報を分析、活用することでB2B、B2Cのサービス開発を推進中だ。
このために同社では、車両情報や地図情報、位置情報を集約したビッグデータのクラウドプラットフォーム「Tatami」を開発、運用している。この企画、開発、テスト、監視機能開発、保守運用は6人のメンバーが担当する。クラウドサービスとしてはAWSを活用しており、2000以上のリソースをプロビジョニング、管理してるという。
アイシン CSSカンパニー コネクティッドソリューション部の福元将高氏は「これらの多大なリソース管理を行うには、コードによるインフラ管理やプロビジョニングを行うIaC(Infrastructure as Code)化が必須であると考えた」と語る。このため、Terraformの導入を決定した。以前はOSS(オープンソースソフトウェア)版のTerraformを活用していたが、セキュリティと利便性などの観点からクラウド版を導入したという。アイシンではAWSだけではなく、サーバ監視ツールである「Datadog」の管理もTerraformで行っている。
福元氏は「『Tatami』だけではなく、社内のさまざまなプラットフォームに広げていきたい。クラウドを活用しているがガバナンスが効いていない領域はいくつかあり、うまく広めていきたい」と語った。
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