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クラウドを使ったサプライヤとのデータ連携これからの設計の話をしよう(1)(1/2 ページ)

いよいよ設計・開発でもクラウド活用が本格化! とはいうものの、図面はIP情報そのもの。サプライヤ間連携などで実業務に耐えるようにするには?

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 この連載では、モノづくりの分野においても導入が進んできたクラウドサービスについて、クラウドPLMサービスを取り上げ、活用シーンを紹介していきます。第1回は、クラウドPLMサービスを活用した組立製造業と部品サプライヤ間における部品設計データ授受を紹介します。

いまだに「図面は手渡し」で情報ロスが多発している

 組立製造業では、製品設計業務においては設計情報を管理するPLMシステムが、そして調達から製造業務においては生産管理システムが、多くの企業で導入・運用されています。しかし、部品サプライヤとの部品設計データ(部品図面、部品構成表、部品要件書、生産要件、見積、工程など)の授受においては、メール、オンライン・ストレージ、さらには外部記録メディア(CD-ROM、USBディスク)による手渡しが依然多いのが実態です。

 この場合、部品設計データがPLMシステムとは切り離された状態で授受されており、設計変更指示の連絡や生産要件の確実なフィードバックなどを漏れなく行うことが、設計者の負担となっています。また、最近は外部とのデータ授受に関する情報セキュリティ管理も強化され、外部メディアによる受け渡しが禁止されていたり、メールやオンライン・ストレージの利用に関しても制限されていたりすることが多くなりつつあり、設計者はセキュアなデータ授受に頭を悩ませています。

 自社のPLMシステムの運用範囲を外部のサプライヤまで拡大できればいいのですが、部品サプライヤの数が多い、取引が必ずしも固定的ではない、海外はどうするか、そしてシステム構築の時間とコストが問題となります。そこで、低コストで迅速にPLM環境を構築できるクラウドPLMサービスが注目され始めました。

手渡しデータでコンカレントエンジニアリングはムリ

 設計者は、コンカレントエンジニアリング推進のため、設計初期段階から生産技術部門や調達部門、さらに直接部品サプライヤへ部品図面を提供し、生産容易性の検討や生産設計の早期着手を依頼します。また逆に、生産技術部門や部品サプライヤから、生産要件に基づく設計へのフィードバック、時には最新の加工技術による部品設計への提案を受けることもあり、双方向でのコラボレーションをいかに効率化できるかが重要です。

 まず、部品設計情報を一元管理するクラウドPLMサービスの要件として以下が求められます。

部品設計情報を一元管理するクラウドPLMサービスの要件

  1. 誰でもどこからでもアクセスできるPLMサーバ環境
  2. 製品構成情報とひも付き、リビジョン管理が容易に行えること
  3. 外部の部品サプライヤともセキュアにデータ授受が行えること
  4. 部品サプライヤとの流動的な取引に応じて、アカウントの新規登録・削除が容易に行えること
  5. 不特定多数の部品サプライヤとのシステム構築が、低コストで短期に行えること

 複数拠点での利用を想定した場合、サーバをどこに置くかという問題は、PLMシステム構築を行う上で各社の業務要件を踏まえ慎重に検討しなければなりません。一方、クラウドPLMサービスを利用する場合、インターネット上にPLMサーバを構築するので、世界中どこからでもWebブラウザでアクセスする環境を整備できます。

 製品構成情報を背骨とした品目・図面・文書などの各種マスターの管理は、従来型のPLMシステムとの相違はありません。例えば、設計部署だけではなく、生産技術、品質、調達、そして外部の部品サプライヤが作成、更新するような設計情報(部品図面、設計要件仕様書、部品表、内外製指示、原価、サプライヤ情報、化学物質規制情報、納期、検査指示、検査結果)を、インターネット上のPLMサーバで一元管理できます。また、頻繁に行われる設計変更に伴う版改訂の履歴情報も管理されます。

 冒頭で述べたように、従来のPLMシステムの場合、外部の部品サプライヤまで含めて運用しているケースはまだ多くなく、紙、電子メールあるいはftpといった手段による伝達が一般的です。クラウドPLMサービスの場合は、相対的に低コストかつ迅速に外部サプライヤにPLM環境を公開しリアルタイムに最新の設計情報を共有できるようになります。また利用者ごとにアクセスできる領域や権限を制御でき、セキュアな環境が保たれているだけではなく、誰がいつどのような情報にアクセスしたか、あるいは更新したかも追跡管理できるため、必要に応じコンプライアンス監査への報告にも対応できます。

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