三菱電機の車載向けデジタルコックピット「Inca Jay」が採用したRTOS:組み込み採用事例
Green Hills SoftwareのリアルタイムOS「INTEGRITY」が、三菱電機の車載向けデジタルコックピット「Inca Jay」に採用された。Inca Jayのソフトウェアを安全に実行、保護し、開発における認証コストと複雑性を軽減する。
Green Hills Softwareは2022年5月31日、同社のリアルタイムOS(RTOS)「INTEGRITY」が、三菱電機の車載向けデジタルコックピット「Inca Jay」に採用されたと発表した。次世代コックピットソフトウェアを安全に実行、保護し、ADAS(先進運転支援システム)、キャビンセーフティ、AR(拡張現実)ユーザー体験を提供する。
INTEGRITYは、ASIL認証を取得済みで、組み込みアプリケーションのリアルタイムリソース、フェイルセーフタイミング機能により、悪意のあるソフトウェアや誤動作から保護する。「INTEGRITY Multivisor仮想化ソリューション」内で、Androidインフォテインメント機能を安全かつセキュアに実行するとともに、認証コストと複雑性を軽減する。さらに、統合開発環境「MULTI」により、ソフトウェアの構築、テスト、最適化を容易にし、効率的にコード品質を高められる。
Inca Jayは、「Qualcomm 3rd Generation Snapdragon Cockpit Platform」や近赤外線カメラ、フェーストラッキング、画像処理技術、ARを活用したデジタルコックピット。ドライバーや車内の異常を検知する「ドライバーモニタリングシステム(DMS)」、走行レーン上の自動車の位置を高精度に求める「高精度ロケーター(HDL)」、位置やナビゲーション情報を表示する「ARグラフィックスオーバーレイ」など、先進の機能を搭載する。現在、市販車を使って実演中だ。
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