リアルタイムOSが産業用ロボットや自動運転車向けフレームワークに対応:組み込み開発ニュース
Green Hills SoftwareのRTOS「INTEGRITY」と統合開発環境「MULTI」が、ROSフレームワークに対応した。ROSの開発者は、電子機器や自動車に関する機能安全規格の要件を満たす、高度なソフトウェアやROSアプリケーションを迅速に開発できる。
Green Hills Softwareは2019年4月8日、同社のRT(リアルタイム)OS「INTEGRITY」と統合開発環境「MULTI」が、ROS(Robot Operation System)フレームワークに対応したと発表した。
INTEGRITYは、組み込みアプリケーションのリアルタイム性能を犠牲にすることなく、セキュリティと保護機能が両立できる。また、仮想化ソリューション「INTEGRITY Multivisor」を使用すると、プログラムを仮想Linux上で実行しながら、必要に応じてINTEGRITY RTOSに移行できる。アプリケーション開発者は、LinuxでROSアプリケーションを開発し、HIL(ハードウェアインザループ)により、実際の組み込みハードウェアと統合できるようになる。
MULTIは、INTEGRITYとLinux OSの両方を認識し、同時にデバッグできる単一の統合デバッグ環境だ。ROSオブジェクトをハードウェアへ迅速に移行し、プロダクショングレードのソフトウェアを開発する期間を短縮する。
これらのソリューションは、ROSフレームワークのベンダーに依存しないため、ROSアプリケーションフレームワークを問わず、幅広いユーザーに対応する。ROSの開発者は、機能安全規格のIEC 61508 SIL4(電気、電子、プログラマブル電子システム)とISO 26262 ASIL D(自動車)の要件を満たす、高度なソフトウェアやROSアプリケーションを迅速に開発できる。
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