トヨタダイハツスバルの自動車部品共同配送、パナソニックがシステムを構築:物流のスマート化(2/2 ページ)
パナソニック コネクトは、ゼテスの現場実行系サプライチェーンソフトウェアを中核とした「配送見える化ソリューション」と頑丈ハンドヘルド端末「TOUGHBOOK」が、トヨタモビリティパーツによる自動車部品の共同配送に採用されたことを発表。2022年4月から同社の栃木支社で稼働を開始しており、今後全国展開も進めていく方針である。
共同配送実現への壁をパナソニック コネクトが解決
パナソニック コネクトは、トヨタモビリティパーツの前身であるトヨタ部品共販の時代にゼテスのソフトウェアを導入していた背景もあり、共同配送に最適な今回のシステム構築も担当することになった。パナソニック コネクト モバイルソリューションズ事業部 事業開発部 Zetes事業課 主幹の里平利彦氏は「まず、各社で異なるシステムやラベルを、トヨタモビリティパーツの方式に合わせて一元化した。その上で、ドライバー端末から配送実績をクラウドに上げてリアルタイムで荷物の管理や追跡を行えるようにし、今後のドライバー不足に向けて作業の標準化なども行った」と説明する。
共同配送のプロセスでは、トヨタモビリティパーツの集配拠点に3社の荷物を荷卸しした後、ダイハツとスバルの荷物に貼り付けられている各社の管理システムにひも付くQRコードラベルをハンドヘルド端末のタフブックで読み込み、トヨタモビリティパーツ方式のQRコードが入ったラベルを印刷して、それぞれの荷物に貼り付ける。その後、配送コース別に3社の荷物を仕分けて、トラックに積み込んでからドライバーが配送業務を開始する。この時点で、物流業務を管理するオペレーターは、クラウド上のゼテスのソフトウェアを使って、各配送車両にどのような荷物が積み込まれているかを確認できる。
ドライバーが配送先に荷物を届ける際にタフブックを使ってラベルを読み取ることで、配送時刻などの情報がゼテスのソフトウェア上で更新されるので、オペレーターはリアルタイムで荷物の管理や追跡を行える。ドライバーも、紙ベースの文書を使わずにタフブックだけで配送を完了できるので作業のムダを省ける。配送が完了した後は、オペレーターは配送実績データをCSV形式で抽出して、業務日報への反映や他社への請求処理などに活用できる。
また、タフブックは最新の「FZ-N1」を採用しており、落下や振動に強く動作温度範囲が−20〜50℃と幅広いことに加えて、従来端末と比べてパフォーマンスが向上した点も高い評価を得られているという。
計盛氏は「タフブックのようなハンドヘルド端末とのシナジーを期待してモバイルソリューションズ事業部でゼテスのソリューションを手掛けてきた。さまざまな業界で取り組みが進む共同配送の実現や物流業界のさまざまな課題の解決で高い評価が得られつつあり、事業拡大の手応えを感じている」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “ともにつながる”パナソニック コネクトが発足、樋口社長「ピカピカの会社に」
パナソニック コネクトが新会社としての発足会見を開催。パナソニック コネクテッィドソリューションズ社傘下の表面実装機、アビオニクス機器、放送機器、モバイル機器や、ブルーヨンダーなどの事業を引き継いでおり、2024年度の事業目標として、売上高1兆1700億円、企業の稼ぐ力を示すEBITDA1500億円の達成を目指す。 - パナソニックの“現場最適化”が体験可能に、顧客接点の拠点を刷新
パナソニック コネクトは、B2Bの顧客との接点となるハブ機能として東京・浜離宮の本社内に2019年1月にオープンした「カスタマーエクスペリエンスセンター(CXC)」をリニューアルし報道陣に公開した。2022年度は、今回のリニューアル効果も合わせて約300社の来場を見込む。 - SCM事業の成長に向け“腹をくくった”パナソニック、株式上場で投資マネー獲得へ
パナソニック ホールディングス(パナソニックHD)は2022年5月11日、同日開催の取締役会で決定した、事業会社のパナソニック コネクトが展開するサプライチェーンマネジメント(SCM)事業の株式上場に向けた準備開始の狙いなどについて説明した。 - パナソニックが物流強化、ベルギーのソリューション企業を子会社化
パナソニックは、ベルギーの物流および人物認証およびモビリティソリューションの大手Zetes Industriesの発行済株式を100%取得し、非上場化を完了したことを発表した。 - 配送中の荷物の位置をリアルタイム管理、パナソニックが荷主企業に提案
パナソニックは2018年11月20日、東京都内で会見を開き、荷物の配送状況をリアルタイムに一括管理し、誤配送を防ぐ「配送見える化ソリューション」の提供を開始すると発表した。 - パナソニックが鍛える裏の競争力、リテール業界でも現場プロセスイノベーション
パナソニックは、「リテールテックJAPAN 2019」に併せて会見を開き、同社が注力する「現場プロセスイノベーション」が流通業界にどのように貢献するのかについて説明した。