12Vの補機用バッテリーをリチウムイオン電池に、規制対応以外にもさまざまな利点:電動化
鉛蓄電池だった電圧12Vの補機用バッテリーが、リチウムイオン電池に置き換わりそうだ。欧州のRoHS指令では鉛の使用が規制されており、ELV(End of Life Vehicles Directive)指令では新型車での鉛蓄電池の搭載禁止を検討している。
鉛蓄電池だった電圧12Vの補機用バッテリーが、リチウムイオン電池に置き換わりそうだ。欧州のRoHS指令では鉛の使用が規制されており、ELV(End of Life Vehicles Directive)指令では新型車での鉛蓄電池の搭載禁止を検討している。
当初は2021年にもELV指令が改定され、早ければ2022年1月から規制がスタートする可能性があった。現時点では規制の具体的な開始時期は未定だが、サプライヤーは12Vの補機用リチウムイオン電池の準備を進めている。
同等の性能の場合、リチウムイオン電池は鉛蓄電池よりも高価だが、小型化して搭載レイアウトの自由度が向上する他、大幅な軽量化も図れる。また、長寿命なため数年ごとにバッテリーを交換する必要がなくなり、自動車ユーザーにもメリットがある。
10〜20kgの鉛蓄電池から4kgのリチウムイオン電池へ
フォルシアがヘラーを買収して発足したフォルヴィア(FORVIA)は、12Vの補機用リチウムイオン電池が鉛蓄電池と比べて小型軽量化が図れることから、設置面積を50%削減できると見込む。搭載場所の自由度が向上する他、最低でも15年の寿命を期待できるという。
5年以内に鉛蓄電池の搭載が禁止されることも視野に、早ければ2023年に量産を開始する。EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)への搭載が前提で、AUTOSARに対応して自動車メーカーが容易に電装系に統合できるようにする。
東芝も、リチウムイオン電池の「SCiB」を補機用バッテリーとして提案していく。2020年代中盤に欧州で鉛蓄電池の規制がスタートすると見込む。欧州だけでなく、日本でも補機用リチウムイオン電池の採用が広がるとみている。
東芝が量産開発を進めている補機用バッテリーは、乗用車向けの12Vタイプが2種類で、商用車向けの24Vタイプも用意した。いずれも鉛蓄電池と同等かそれ以上の性能を持たせる。乗用車向けは従来の鉛蓄電池の補機用バッテリーと同サイズで同じ場所にそのまま載せ替えられるものと、小型のセルで薄型化した2種類とした。薄型タイプの重量は4kgだ。補機用の鉛蓄電池は10kg前後、重いものでは20kgほどになることもあり、大幅な軽量化となる。
従来の鉛蓄電池と同サイズの方は大容量のセルを採用しており、駆動力のアシストも一部カバーできるという。乗用車向けの薄型タイプと商用車向けの24VタイプはCAN通信に対応させる。補機用バッテリーではないが、マイルドハイブリッドシステム向けの電圧48Vのバッテリーもラインアップに持ち、欧州向けの提案を強化している。
コストは鉛蓄電池よりも高いが、SCiBは鉛蓄電池よりも4〜5倍の長寿命であり、乗用車の一般的な使用期間であれば交換不要だという。
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