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自動車唯一の電源、鉛バッテリーの仕組みいまさら聞けない 電装部品入門(1)(1/3 ページ)

自動車のさまざまな機能を支える電装部品。これら電装部品について解説する本連載の第1回では、自動車の唯一の電源である鉛バッテリーの仕組みについて取り上げる。

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エンジン、シャシーの次は電装部品

いまさら聞けない 電装部品入門

 これまでMONOistメカ設計フォーラムで連載していた「いまさら聞けない エンジン設計入門」「いまさら聞けない シャシー設計入門」に引き続いて、電装部品について解説するのが、この「いまさら聞けない 電装部品入門」です。

 本連載では、充電装置や始動装置、点火装置はもちろん、エアバックやカーエアコンなどを含めて、さまざまな電装部品を取り上げていきます。これまでの連載と同様に、自動車業界で一般的だと考えられている事例を中心に、筆者の経験から得た見解を加えて紹介します。

 なお、全ての電装部品についていえることですが、自動車メーカーやティア1サプライヤは、開発した製品ごとに独自の技術やノウハウを集結させています。ですので、筆者が紹介する具体的構造などは、あくまでも一例でしかないことをご了解ください。

 読者の皆さまには、本連載から得た自動車の基礎知識や考え方について、自動車業界にとどまらない幅広い分野で生かしていただきたいと願っています。

電装部品としてのバッテリー

 代表的な電装部品の1つとして知られているのが「バッテリー」です。バッテリーは、車載システムの電源として用いられており、電力を化学エネルギーとして蓄えるとともに、必要に応じてその化学エネルギーを電力として取り出すことができます。

 単に蓄えた化学エネルギーを電力に変換して取り出すだけであれば、一般的な使い捨ての電池(一次電池)と同じです。しかし、電装部品のバッテリーは、一度電力を取り出した後で、外部の装置から供給した電力を再度化学エネルギーとして蓄えることができる、二次電池としての機能を備えています。

自動車の鉛バッテリーと各部の名称
自動車の鉛バッテリーと各部の名称(クリックで拡大)

 一般的に二次電池と呼ばれるものには、ニッカド(Ni-Cd)電池やニッケル水素(Ni-MH)電池、最近ではリチウムイオン電池などがあります。中でも、自動車のバッテリーとして広く利用されているのは、鉛蓄電池と呼ばれる二次電池です。

 今回はこの鉛蓄電池を使ったバッテリー(鉛バッテリー)について説明します。

 数ある二次電池の中から鉛蓄電池がバッテリーとして採用されている理由としては、以下の項目が挙げられます。

  • エンジン始動時などに求められる、短時間で大電流を放電する性能を持つ
  • 材料が豊富で容易に確保でき、安価である
  • さまざまな環境下で安定した性能を発揮できる
  • 取り扱い(メンテナンス含む)が容易である
  • 衝突時などに加わる外力や、異常発生時のリスク(爆発・火災)が低い
  • メモリ効果がない

 ただし、鉛蓄電池が自動車用のバッテリーとして採用された当初にここまで考えられていたかは不明です。これらの項目は、現在でも鉛蓄電池が自動車用のバッテリーとして当たり前に使用されていることを踏まえて推定しています。

 このように、鉛バッテリーはさまざまな環境下で安定した充放電が可能であり、バッテリーとして避けては通れない「定期交換」を他の二次電池と比べて低コストで行えるという大きなメリットを持っています。

 日本で初めて鉛バッテリーが試作されたのは1895年といわれています。その後100年以上も、基本構造が大きく変わることなく、現在でも自動車のバッテリーとして使用されているのです。

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