秒間2万点のデータを遅延なく可視化、アプトポッドは5G時代のIoT通信見据える:製造業IoT(2/2 ページ)
IoTデバイスを通じて動画や音声など多種多様な通信データをリアルタイムに取得したいというニーズの高まりとともに、データ通信量の大容量化も進んでいる。この中でリアルタイムなデータ通信を実現するIoT基盤を用意するかが課題になるが、アプトポッド 代表取締役は「当社は4G時代から備えてきた」と応える自信を見せる。
自動車メーカーのR&Dなどで活用
同社製品は大手メーカーを中心に約50社、約100プロジェクトでの使用実績があるという。自動車メーカーにおけるR&D(研究開発)や、建設機械の他、配送ロボットやAGV(無人搬送車)、ドローンの遠隔データ収集、遠隔制御、フリート管理といった用途で採用されている。
自動車メーカーにおけるR&Dでは、自動車の制御信号をストリーミングベースで収集、解析する用途などで使われている。従来のR&Dでは、自動車のデータロガーに蓄積された制御信号などの記録をコピーして、解析工程に受け渡す必要があった。しかし、アプトポッド製品であれば自動車から受け渡される1台当たり秒間2万点にも及ぶ信号を、ネットワークを介して、遅延なく開発ツール間で受け渡せる。
自動車製品そのものへの実装ではまだ実績がないものの、MaaS(Mobility as a Service)プロジェクトなどでの採用は進んでいるという。この他、ディーラーが使用するリモート診断装置において、自動車メーカーとディーラー間で診断データをやり取りするシステムの構築プロジェクトなどで使われている。
坂元氏は「当社製品は特に、移動体に適用される例が多い。今後、5Gが普及すれば需要も増えると見ている。こうした領域で事業進展を図りたい」と意気込みを見せた。
扱えるデータ形式の拡充に努める
坂元氏はIoTデータ通信が抱え得る将来的な課題感について、「データ通信コストはどんどん下がってきているが、一方で、送受信するデータ量自体は増えてきている。つまり、従来はVGAの解像度で送っていた動画データを今度から4Kにしたいといったニーズや、データ量削減のために間引いて送信していたデータをフルで送りたい、というリクエストも出てくるだろう。こうなると既存のIoTバックヤードシステムや、ミドルウェアの処理性能が追い付かなくなる」と指摘した。
加えて、データ通信の大容量化に伴い、エッジデバイス側でフィルタリングなど一定の計算処理を施した上でクラウドにストリーミングするといったニーズも高まる。ただ、「エッジ側で扱うデータ量が大きくなれば、一定以上の処理性能を持つIoTゲートウェイのデバイスが必要になる。しかし、市場にはハイパワーな製品が少ない。さらに、排熱性能を考えると、車載などの用途に使える製品は絞られてしまう」(坂元氏)という。
これらの課題感は5Gの本格的な普及と並行して大きくなっていくと予想される。アプトポッドでは、こうした新しいニーズが生じることを以前から織り込んでintdashやVisual M2M Data Visualizer、EDGEPLANTといった製品開発を進めてきた。そのため顧客の新しい悩みの解決に貢献し得る製品提供が可能だとする。今後はロボット制御向けに採用が広がっているROS2などのデータも扱えるようにするなど、対応可能なデータ形式の拡充に努める方針だ。
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