ソニーのイメージセンサー事業のけん引役はやっぱりスマホ、車載の採用も拡大:組み込み開発ニュース(3/3 ページ)
ソニーグループがCMOSセンサーをはじめとするイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の事業戦略を説明。モバイル向けイメージセンサーの市場拡大は2030年度まで年率約10%で継続する見込みで、高級機種で求められる大判化などの最先端の技術要求に着実に応えていくことで競合他社に奪われたシェアを奪回する方針。
2021〜2023年度の3年間で9000億円を投資
インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を中核とするソリューション事業については、2021年10月のAITRIOSの立ち上げに加えて、2020年5月に発表したマイクロソフトと協業の発展形となる共同イノベーションラボの米国、日本、中国、ドイツでの開設が2021年度のトピックになる。
清水氏は「AITRIOSにより、パートナー企業が開発環境やクラウドサービスなどさまざまな機能を活用することでソリューションを簡単かつ短期間で開発、投入できる。将来的には、IMX500だけでなくセンシング事業で手掛ける多種多様なセンサーにも広げていきたい。AITRIOSを通じてセンサー事業を拡大するだけでなく、リカーリングビジネスへのチャレンジも進めたい」と述べる。この他、マイクロソフトとの協業の採用事例として、ゑびやのグループ会社EBILABが開発した「小売業向け棚監視ソリューション」を紹介した。
メタバースなどで市場拡大が期待されるVR(仮想現実)ヘッドセットやAR(拡張現実)グラス向けでは、センシング技術の活用先として新規デバイス開発の方向性を示した。高精細化が求められるディスプレイデバイスでは有機ELマイクロディスプレイを適用する他、高輝度かつ低消費電力が必要なARグラス向けでは将来的に無機ベースのマイクロLEDを開発する考えだ。また、ハンドトラッキング用のToFイメージセンサーや発光デバイスのVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)、MR(複合現実)向けのイメージセンサーなども展開していく。
イメージセンサーの設備投資計画は、2021〜2023年度の3年間で約9000億円に達する見込み。2018〜2020年度の約5800億円の約1.5倍となる。清水氏は「これまで設備投資は少しずつ減少していくと見ていたが、事業成長に合わせて今後も中長期的に継続していく必要があると考えている」と説明する。
長崎テクノロジーセンターのFab5は2022年7月に拡張部分の稼働を始める予定で、さらなる拡張に向けた工事も2022年5月に始まっている。大部分を外部調達してきたロジック半導体の確保に向け、JASMへの投資も決め、JASMの親会社であるTSMCとの技術連携も強化していく。「JASMの存在は、日本国内の半導体サプライチェーン強化にも貢献できる」(同氏)としている。
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