JasParがAUTOSARに参加、車載ソフトの標準化に向け協調深める:車載ソフトウェア
欧州の車載ソフトウェア標準化団体であるAUTOSARと日本国内で車載ソフトウェアの標準化を推進しているJasParは、これまで重ねてきた両組織間の協調を強化してさらなる相乗効果を引き出すべく、自動車や未来のインテリジェントモビリティにおける標準化を推進するためのMoU(基本合意書)を締結した。
欧州の車載ソフトウェア標準化団体であるAUTOSARと日本国内で車載ソフトウェアの標準化を推進しているJasParは2022年5月10日、これまで重ねてきた両組織間の協調を強化してさらなる相乗効果を引き出すべく、自動車や未来のインテリジェントモビリティにおける標準化を推進するためのMoU(基本合意書)を締結したと発表した。
これまでもAUTOSARとJasParは車載ソフトウェアの標準化で協調してきた。今回のMoUでは、両組織の共通の要求事項や開発内容の調整を目的として、JasParがAUTOSARのパートナーの一つであるAttendee(アテンディー)として参加するなど、さらに一歩踏み込んでいる点で従来と異なる。JasParはAUTOSARのAttendeeとしてAUTOSARの標準化活動に参加するとともに、JasParからの提案をAUTOSARのワーキンググループに伝える代表者も指名する予定だ。
AUTOSARは2022年4月、日本の地域代表となるリージョナルスポークスパーソンにデンソーの後藤正博氏が就任したことを発表しており、日本国内での活動を活発化していく方針を示している。AUTOSARが日本での活動を強化し、欧州を中心に進められているAUTOSARの活動にJasParが参加することで、日本企業が多数参加しているAUTOSARのパートナー企業とJasParが連携を深めるなどして、日本国内の地域の要求を車載ソフトウェアの国際標準であるAUTOSARに反映しやすくなる。
なお、AUTOSARとJasParは、両組織の共同もしくは個別の開発や標準化の成果をより多くの人々と共有すべく、互いのイベントに参加することも決めた。まずは、AUTOSARが2022年5月11日に開催する「第13回AUTOSAR Open Conference(AOC)」にJasParが参加するという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AUTOSARの日本代表にデンソーの後藤正博氏が就任
欧州の車載ソフトウェア標準化団体であるAUTOSARは、日本の地域代表となるリージョナルスポークスパーソンにデンソーの後藤正博氏が就任したと発表した。 - 設立から15年、車載ソフト標準化団体JasParの現在地と行く先
2004年9月から車載ソフトウェアの国内標準化団体として活動してきたJasPar。設立から15年が経過する中で、自動車業界におけるソフトウェアの重要性の高まりと合わせてその存在感も大きくなりつつある。そこで、JasParの運営委員長を務める橋本寛氏に、これまでのJasParの取り組みや、第4期に当たる現在の施策の進展状況などについて聞いた。 - AUTOSARの歴史と最新動向に見る、Classic PlatformとAdaptive Platformの関係
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載の第6回では、2018年11月時点でのAUTOSARの最新動向を紹介するとともに、Classic PlatformとAdaptive Platformの関係について説明する。 - AUTOSARにおける標準化活動とはどんなものなのか
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載の第10回では、あまり知られていないAUTOSARにおける標準化活動について、筆者の経験を基にその一端を紹介する。また、AUTOSAR Adaptive Platformの最新リリースであるR19-03の変更点についても取り上げる。 - 自動車の“安全”を考える、ISO 26262の先にある「SaFAD」にどう対応すべきか
車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第16回では、AUTOSARと関わりの深い“安全”に関する動向を取り上げる。ISO 26262の先にあるものについて、自動車関連企業11社が発表した「SaFAD paper」を基に解説しよう。 - AUTOSARとは?/What is AUTOSAR?−2015年版−(前編)
量産車にもすでに適用されている車載ソフトウェアの標準規格「AUTOSAR」。しかし現在も、AUTOSARとそれを取り巻く環境は刻々と変化している。本連載では、2011年に好評を博したAUTOSARの解説連載「AUTOSARとは?」の筆者が、2015年現在のAUTOSARの仕様や策定状況、関連する最新情報について説明する。