プレゼン資料の作成と発表の効率化に役立つツールをマクロで自作する:技術者のための資料作成とプレゼン講座(9)(3/3 ページ)
どんなに素晴らしい内容の発表でも、それが読み手や聞き手にうまく伝わらなければ意味がない。本連載では、技術者の皆さんを対象に、相手に伝わる発表内容の構成や資料の表現方法などについて伝授する。第9回は、プレゼン資料の作成と発表の効率化に役立つ、すぐにでも使える「PowerPoint」のツールを、マクロを使って自作してみます。
進捗バーを表示するマクロ
プレゼンの時間は明示されていても、プレゼンを聞く人から見て進捗(しんちょく)状況は気になるものです。今、プレゼン全体のどのあたりなのか……。これが聴講者にハッキリと分かるようにしておくと聞き手は安心します。
マクロを使って、プレゼンのスライドショーの最下端に進捗バー(プログレスバー)を表示してみましょう。マクロの作成や実行方法は「図形の大きさを自動でそろえるマクロ」と同じです。異なるのはVBAの中身だけです。以下に、進捗バーのVBAを示します。
On Error Resume Next With ActivePresentation For X = 1 To .Slides.Count .Slides(X).Shapes("PB").Delete Set s = .Slides(X).Shapes.AddShape(msoShapeRectangle, _ 0, .PageSetup.SlideHeight - 12, _ X * .PageSetup.SlideWidth / .Slides.Count, 12) s.Fill.ForeColor.RGB = RGB(0, 51, 204) s.Name = "PB" Next X: End With
「RGB」の数字を変更すると、進捗バーの色を変更できます。また、プログラム中に2箇所ある数字の「12」の部分を、両方とも数字を大きくすると進捗バーが太くなり、小さくすると細くなります。
スライドの枚数を増やしたり、減らしたりしたときは、再度、マクロを実行します。スライドショーにすると最下端に進捗バーが表示されます。スライドを進めるごとに、進捗バーも伸びていきます。スライドショーにおける進捗バーの様子は以下の動画2をご覧ください。
動画2で使用しているマクロ付きのPowerPointファイルは、以下からダウンロードできます。
(次回へ続く)
コラム:
全く宣伝する気はないのですが、筆者が長年使っているMicrosoft Office関係のアドインを紹介します。もうこれがないと不自然なくらい手放せないアドインです。筆者はこれで作業効率がグンとアップしました。なぜこれがOffice製品の標準機能として存在しないのか不思議なほどです。
それは「Office Tab」というアドインです。名前の通り、Officeで開いたファイルをタブ化するものです。Word、Excel、PowerPointに対応しています。
現在、多くのWebブラウザがタブ化されています。Webブラウザがタブ化されていないとすると、URLを1つ開くたびに新しくウィンドウが追加されていきます。URLをたくさん開くと、デスクトップにWebブラウザのウィンドウがたくさん重なって表示された状態となり、かなり混乱しますよね。今のOffice製品はこうなのです。ファイルを1つ開くたびに、Officeのウィンドウが1つ開きます。
「資料を作る」ということは、これまで作成した資料を参照したり、コピペしたり、複数のファイルを行き来することが多いのが現実です。PowerPointやその他のOffice製品で「Chrome」のタブのような役割をしてくれる超絶便利なアドインです。今のところOfficeのバージョンアップにも対応してくれています。
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