プレゼン資料の作成と発表の効率化に役立つツールをマクロで自作する:技術者のための資料作成とプレゼン講座(9)(2/3 ページ)
どんなに素晴らしい内容の発表でも、それが読み手や聞き手にうまく伝わらなければ意味がない。本連載では、技術者の皆さんを対象に、相手に伝わる発表内容の構成や資料の表現方法などについて伝授する。第9回は、プレゼン資料の作成と発表の効率化に役立つ、すぐにでも使える「PowerPoint」のツールを、マクロを使って自作してみます。
図形の大きさを自動でそろえるマクロ
図形の大きさをそろえるのは面倒な作業です。マクロを使ってこれを自動化してみましょう。
1.マクロを有効にする
PowerPointでマクロを使うためには、「開発タブ」を有効にする必要があります。[ファイル]−[オプション]で「PowerPointのオプション」画面が表示されます。左のペインから[リボンのユーザー設定]を選びます。[メインタブ]の[開発]にチェックを入れて[OK]を押します。これでタブに「開発」が表示されます。
追加された開発タブの中に[コード]−[マクロのセキュリティ]というアイコンがあります。これをクリックすると「セキュリティーセンター」が開きます。左のペインにある「マクロの設定」が選択されているはずです。
「マクロの設定」の項目が4レベルあります。一番下の「すべてのマクロを有効にする」はそれに続くカッコ内にあるように、推奨されません。マクロに対して全くの無防備になってしまうので、この設定はやめましょう。ネット上には便利なVBAがたくさん存在しますが、便利なフリをして危険な動作をするものもありますので、この設定は危険です。逆に、一番上だとマクロが全く動作しなくなってしまうので、筆者は上から2番目の項目で設定しています。マクロについては自己責任でお願いします。
2.マクロを有効にする
[表示]タブ−[オプション]に[マクロ]アイコンがあります。それを押すと図4のようなダイアログが表示されます。「マクロ名」の部分にマクロの名前を入れます。マクロの動作を示す名前がいいでしょう。今回は「四角形の大きさを揃える」としました。
[作成]を押すとVBAのエディタが開きます。何やら難しそうですが、今回はコピー&ペーストでプログラムを作成するので心配ご無用です。VBAエディタには既にプログラムの一部が入力されています。以下のようになっているはずです。
Sub 四角形の大きさを揃える() →ここは1行空いている End Sub
非常に粗っぽい説明ですが、1行目は「以下は「四角形の大きさを揃える」というプログラムだよ」ということです。そして、最終行は「プログラムはここで終わり!」ということです。今の段階では空っぽです。
以下に、四角形の大きさをそろえるプログラムを用意しました。1行目と最終行も含んでいますので、注意してくださいね。全部で9行です。
Sub 四角形の大きさを揃える() With ActiveWindow.Selection If .Type <> ppSelectionShapes Then Exit Sub With .ShapeRange .Height = .Item(1).Height .Width = .Item(1).Width End With ' .ShapeRange End With ' ActiveWindow.Selection End Sub
VBAは高度で多機能なプログラム言語です。これを使えるようになれば、かなりのことができるようになります。VBAに関しては書籍も豊富にそろっていますし、Webサイトにはたくさんの情報がありますので、興味のある方はぜひ勉強してみてください。
3.マクロを使う
早速マクロを使ってみましょう。まずは、マクロを作成したそのPowerPointのスライドに、大きさの異なる幾つかの四角形を描きます。最初に大きさの基準となる四角形を選択して、その後、[Shift]キーを押しながら大きさをそろえたい四角形を選択します。
そして、[表示]タブ−[オプション]の[マクロ]をクリックします。これはマクロを作成するときと同じです。先ほど作成したマクロが登録されていますので、それをクリックして[実行]します。実際の動きについては、以下の動画1をご覧ください。
マクロ付きのPowerPointファイルを保存するときは、「PowerPoint マクロ有効プレゼンテーション(*.pptm)」で保存してください。そうしないとマクロが無効になってしまいます。
動画1で使用しているマクロ付きのPowerPointファイルは、以下からダウンロードできます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.