メルクが静岡事業所に135億円を投資、国内半導体関連企業との連携も強化:工場ニュース
ドイツの化学企業メルクの日本法人であるメルクエレクトロニクスは、同社の静岡事業所で開発と製造を行っている半導体/ディスプレイ材料を中心に、2025年までに1億ユーロ(約135億円)を超える投資を行うと発表した。旺盛な半導体需要に対応するとともに、日本国内の半導体製造装置メーカーや原材料メーカーとの連携を強化する。
ドイツの化学企業メルク(Merck)の日本法人であるメルクエレクトロニクスは2022年4月26日、オンラインで会見を開き、同社の静岡事業所(静岡県掛川市)で開発と製造を行っている半導体/ディスプレイ材料を中心に、2025年までに1億ユーロ(約135億円)を超える投資を行うと発表した。静岡事業所に2000万ユーロを投資して2021年1月にセントラルオフィスを開所したばかりだが、旺盛な半導体需要に対応するとともに、日本国内の半導体製造装置メーカーや原材料メーカーとの連携を深めるべく、さらなる投資を決定した。
メルクのドイツ本社でエレクトロニクス・ビジネスCEOを務めるカイ・ベックマン(Kai Beckmann)氏は「エレクトロニクス・ビジネス部門のイノベーションと能力強化に向けたグローバル成長戦略『Level Up』では、2021〜2025年にかけて米国やアジアなどアジア太平洋地域の拠点を中心に30億ユーロ(約4100億円)以上の投資を行うことを決めている。1968年から30年以上、当社は日本をテクノロジーハブとして活動してきたが、今後も重要な役割を果たすと考え投資を決めた」と語る。
メルクは現在、ヘルスケア、ライフサイエンス、エレクトロニクスという3つのビジネス部門を3本柱として事業を展開している。エレクトロニクス・ビジネス部門の2021年の売上高は36億ユーロ(約4900億円)。1984年設立の静岡事業所は、主力製品となっている半導体・ディスプレイ製造用フォトレジストおよび電子材料関連薬品(現像液、シンナー、リンス液、剥離液、反射防止膜剤、密着助剤、絶縁膜形成剤、保護膜剤)などの多岐にわたる製品の開発をリードしてきた。
メルクエレクトロニクス 代表取締役社長の永田勝氏は「当社はディスプレイや半導体の後工程、CIS(CMOSイメージセンサー)などのフォトレジスト、関連薬品で高いシェアを持つ。半導体とディスプレイのパターニングに関わる材料を全てカバーしているのはメルクだけだ。今回の投資に合わせて半導体関連材料の開発をさらに強化し、日本に本社を置く有力な半導体製造装置メーカーや原材料メーカーとの連携を深めていきたい」と述べる。
現在、静岡事業所の従業員数は約250人。2025年までの設備投資に合わせて30人増員し280人まで増やす方針だ。半導体需要がさらに伸びる場合には、20人増やして300人体制とすることも想定している。
また、2021年1月に完成したセントラルオフィスをベースに、社会科見学なども実施して、掛川市を中心とする地域交流も積極的に進めたい考え。半導体やディスプレイなどの電子材料の開発や生産は機密性が高いこともあって、これまで社外の人員を建屋内に迎えることが難しかったが、セントラルオフィスはそういった活動が可能な設計になっているという。
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