会議が多い社員に「高ストレス者」が急増、リスク低減のカギは会議間の休憩:キャリアニュース
ワーク・ライフバランスとDUMSCOが、テレワークの会議過多による突然休職のリスクに関する調査結果を発表した。1日4件以上の会議参加を境に「高ストレス者」の割合が急増した。また、会議間に挟む5分程度の休憩がストレス低減に有効だと分かった。
働き方改革をコンサルティングするワーク・ライフバランスと、「ストレススキャン」「ANBAI」などのストレス可視化アプリケーションを提供するDUMSCOは、2022年4月5日、テレワークの会議過多による、突然休職のリスクに関する調査結果を発表した。
同調査は、週1日以上オフィスに出社せず勤務する全国の22歳以上のビジネスパーソンを対象としたもので、367人から回答が寄せられた。
まず、1日に平均3件の会議に出ている人のうち「高ストレス者」の割合を調べたところ、14%が「高ストレス者」だった。1日に平均4件の会議に出ている人では、「高ストレス者」が37%に増加。1日4件以上の会議参加を境に「高ストレス者」の割合が急増している。
その「高ストレス者」のストレス自覚率を調査すると、アンケート式のストレスチェックでは「高ストレス者」と判定されないために、ストレスを自覚することなく、突然休職するリスクが高い「隠れテレワ(テレワーク)負債者」が57%を占めた。
「隠れテレワ負債者」の年収は、「800万円以上1000万円未満」が32%、「1000万円以上1200万円未満」が37%、「1200万円以上1500万円未満」が2%、「1500万円以上」が5%となり、「隠れテレワ負債者」の76%が、年収800万円を超えるエース社員に該当していた。
ただ、多くの会議に参加するエース社員の中には、突然休職するリスクを抱える「隠れテレワ負債者」だけでなく、「低ストレス者」も存在する。両者を分析したところ、会議が連続する場合に休憩を設けているか否かで大きな違いがあることが分かった。
「会議が連続する場合に、5〜10分程度の休憩を設けることを実践しているか」という質問に対し、「隠れテレワ負債者」は「当てはまる」が7%、「ほぼ当てはまる」が10%、「当てはまる」が23%となり、会議間の休憩を「実践している」が40%だった。一方、「低ストレス者」は「当てはまる」が16%、「ほぼ当てはまる」が23%、「当てはまる」が36%となり、「実践している」が75%になっている。
続いて、「隠れテレワ負債者」と「低ストレス者」の「1日の平均的な睡眠時間」を比較した。「隠れテレワ負債者」は「9時間以上」が2%、「8時間以上9時間未満」が5%、「7時間以上8時間未満」が22%となり、7時間以上睡眠をとっている割合は29%だった。「低ストレス者」は、「9時間以上」が2%、「8時間以上9時間未満」が3%、「7時間以上8時間未満」が57%となり、62%が7時間以上睡眠をとっていた。
これらの結果から、会議が連続する場合に5分ほどの休憩をとる「会議間インターバル」と、終業時間と始業時間を11時間以上空けることで、7時間以上の睡眠時間を確保する「勤務間インターバル」を実施しているか否かが、エース社員の突然休職リスクを低減するカギを握っていることが分かった。
会議間、勤務間インターバル「意識はしているが、実践できない」
次に、「隠れテレワ負債者」の「会議間インターバル」に対する意識を調べた。会議が連続する場合、5〜10分程度の休憩を設けることを意識しているか尋ねたところ、「当てはまる」が12%、「ほぼ当てはまる」が15%、「少し当てはまる」が40%となり、67%が意識していた。しかし、休憩を設けることを実践しているかについては、「当てはまる」が7%、「ほぼ当てはまる」が10%、「少し当てはまる」が23%で、休憩を実践しているのは40%だった。
同様に「隠れテレワ負債者」の「勤務間インターバル」への意識と実践について調べた。「確保したいと意識している睡眠時間」は、「9時間以上」が3%、「8時間以上9時間未満」が13%、「7時間以上8時間未満」が59%だった。実際の「1日の平均的な睡眠時間」は、「9時間以上」が2%、「8時間以上9時間未満」が5%、「7時間以上8時間未満」が22%だった。
これらから、「会議間インターバル」と「勤務間インターバル」のいずれも、意識と実践の間に差があることが分かる。「意識はしているが、実践できない」層は「会議間インターバル」では27%、「勤務間インターバル」では46%となった。
多くの企業が会議時間の基本を60分と設定しているが、ワーク・ライフバランスでは「会議間インターバル」を仕組み化するため「45分会議」を実践している。会議を45分とすることで、次の会議が始まるまでの15分間を活用できる。また、会議時間の基本を30分にした場合は、絶え間なく30分会議が連なる可能性があり、適切な休息などを挟むことが難しくなると同社では考えている。
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