サイバニクス治療により、ALS患者の歩行機能が改善:医療機器ニュース
CYBERDYNEの「HAL医療用下肢タイプ」を用いたサイバニクス治療が、ALS患者の歩行機能改善に有効性を示すことを、東邦大学が明らかにした。1〜2カ月間の治療により、歩行テストにおける歩行距離や歩行率が改善した。
CYBERDYNEは2022年3月17日、「HAL医療用下肢タイプ(医療用HAL)」を用いたサイバニクス治療が、ALS患者の歩行機能改善に有効であることを、東邦大学が明らかにしたと発表した。
サイバニクス治療は、脊髄損傷や脳卒中、神経筋難病疾患を対象に、装着型サイボーグHALを用いた機能改善の治療法だ。装着型サイボーグHALは、人が体を動かそうとするときに発生する微弱な生体電位信号を利用して動作を補助する。
今回の研究では、10m以上安全に自立歩行できないが、介助または歩行補助具を使用して10m以上歩行可能なALS患者を対象とし、医療用HALによるサイバニクス治療を1〜2カ月間で全9回、週2〜3回の頻度で実施した。
その結果、2分間の平均歩行距離は、治療前の73.87mから治療後に89.94mに伸びた。10m歩行テストの歩行率の平均値も、治療前の1.71から治療後1.81に改善。10m歩行テストの速度や歩幅も改善傾向を示し、ALSの運動機能評価尺度や機能的自立度は維持される傾向が認められた。
医療用HALは、2016年にALSを含む8つの神経、筋疾患に対して保険適用されている。しかし、臨床治験でのALS患者は1例のみで、効果を証明する研究成果が望まれていた。現在、ALSの進行抑制を示した治療薬はあるものの、運動症状を改善させる治療法はなく、歩行機能を維持、改善することで、ALS患者のQOL改善も期待される。
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