オートデスク、作業効率を向上させる機能強化を図った「AutoCAD 2023」を発売:CADニュース
オートデスクは、CADソフトウェア製品の最新バージョンである「Autodesk AutoCAD 2023」および「Autodesk AutoCAD 2023 Plus」を2022年3月30日に販売開始した。より深いインサイト、コラボレーション、自動化を実現する機能が強化されている他、パフォーマンスも向上しているという。
オートデスクは2022年3月31日、CADソフトウェア製品の最新バージョンである「Autodesk AutoCAD 2023」(以下、AutoCAD 2023)および「Autodesk AutoCAD Plus 2023」(以下、AutoCAD Plus 2023)を、同年3月30日に販売開始したことを発表した。同日から最新バージョンをダウンロードして利用できる。また、30日間無償体験版の提供も行っている。
AutoCAD 2023/AutoCAD Plus 2023の新機能と強化ポイント
最新バージョンにおける主な新機能は3つある。1つ目は、フィードバックを速やかに送信して設計に組み入れることができる「マークアップ読み込み」と「マークアップアシスト」機能だ。マークアップ読み込みでは、印刷物やPDFからのフィードバックをAutoCADのトレースとして読み込むことができる。そして、AutoCADでマークアップを検出して、オブジェクトに変換し、マークアップアシストによって、テキストやオブジェクトをクリック操作で自動的に図面上に追加することが可能だ。これら機能はAutoCAD Plus 2023のみに提供され、設計のコラボレーションや改定などがスムーズに行えるよう支援する。
そして、2つ目は生産性向上を支援する「自分のインサイト:マクロアドバイザ」だ。機械学習アルゴリズムを活用したアドバイザリーエンジン「自分のインサイト」は、作業をより迅速に進められるよう厳選されたインサイトを設計者へ提供するとともに、繰り返しの多い作業を自動化する「おすすめマクロ」を作業中に提示してくれる。新機能である「コマンドマクロパレット」でマクロの詳細を確認したり、保存したり、必要に応じて変更したりすることができる。
3つ目が、どこからでもワークフローをカスタマイズ/自動化できる「AutoCAD Web アプリからのLISP API利用」だ。Webブラウザ上からCAD図面の編集、作成、表示などが行える「AutoCAD Web アプリ」でLISP APIの利用が可能となり、デスクトップのAutoCADと同じように、LISPコマンドを入力することができる。これにより、外出先や職場など、働く場所を問わず、繰り返し作業を自動化したり、独自にカスタマイズしたりといったことが可能となる。なお、この機能は、AutoCAD Plusのサブスクリプションユーザーのみが利用できる。
新機能の他にも、AutoCAD 2023/AutoCAD Plus 2023では、よりスムーズな設計を実現するためにさまざまな機能が強化されているという。ユーザーからの要望に応え、コマンドラインをどのアクティブな浮動図面ウィンドウでも表示されるようにした他、トレースも強化している。AutoCAD Web アプリやモバイルアプリだけでなく、デスクトップでもトレースを作成でき、他者が作成したトレースに対して加筆することが可能となり、コラボレーションが強化されている。さらに、カウント機能も強化され、任意に選択された領域内などのオブジェクト集計を自動化できるという。
パフォーマンスに関しては、グラフィックスが強化され、シェード、シェードとエッジ、ワイヤフレームのビジュアルスタイル利用時の3Dオブジェクトレンダリングが、最大で10倍高速化されたとしている。
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