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プレゼン素材としての「アイコン」を極める!!技術者のための資料作成とプレゼン講座(8)(3/3 ページ)

どんなに素晴らしい内容の発表でも、それが読み手や聞き手にうまく伝わらなければ意味がない。本連載では、技術者の皆さんを対象に、相手に伝わる発表内容の構成や資料の表現方法などについて伝授する。第8回は、プレゼン素材としての「アイコン」をテーマに、既存のアイコン活用やオリジナルアイコンの作成方法などを詳しく紹介する。

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レベル3:自由な図形でアイコンを作る

 アイコンに絵画のような描画は必要ありません。よって、単純な図形の組み合わせと図形の結合コマンドによって、かなり緻密な絵柄でも作成できます。そもそもアイコンは単純化、抽象化されていますので、そんなに複雑なものとはなりません。

 著者は、以下のような手順でオリジナルのアイコンを作成しています。

1.プレゼン資料のイメージに合うアイコンを一通り探しますが、専門的なもの、概念的なものはなかなか見つかりません。イメージのキーワードをベースに、下絵となる図形を探します。その際、図形に限らず、写真、イラストなども含めて探します

2.イメージに合う写真やイラストを見つけたら、それをPowerPointに挿入します。このとき、下絵となるものはスライドマスターに挿入し、図形の透明度を50〜70%に設定します。スライドマスターに下絵を張ることによって、アイコン作成時の作業効率が格段に上がります

3.標準ページに移動し、PowerPointの図形にある素材を使って下絵をトレースします。これだけでもアイコンとして認識するのに十分な形状にたどり着くことができます

4.例えば、滑らかな曲線が必要な場合には、「頂点の編集」コマンドを使います。頂点の編集コマンドはAdobeのグラフィックスソフト「Illustrator」と同じように、曲線をコントロールできます。頂点の編集については、以下のWebサイトに詳しく解説されています
⇒頂点の編集で怖いものなし! カスタム図形編 違いの分かる矢印を作る! の巻き

5.最後に、全体のバランスと線の太さ、色を整えて完成です

 これでPowerPointネイティブなアイコンができました。ここで気を付けなければならないことがあります。それはアイコンを線で作るか、面で作るかということです。

 アイコンを線で作ると、線ごとに色や太さの属性を変更できます。一方、面で作ると面の周辺の線の属性しか変更できません(図5)。線のみで作るか、面のみで作るか、その組み合わせで作るか、アイコンの利用状況をイメージして構成をデザインしてください。

アイコンを線で作るか、面で作るか
図5 アイコンを線で作るか、面で作るか[クリックで拡大]

 図6は、VR(仮想現実)のアイコンです。人物の外形は線で、ゴーグルは面で構成しています。人物の外形線を変えたり、ゴーグルの色を変えたりすることができるデザインです。

VRアイコンの線と面の構成
図6 VRアイコンの線と面の構成[クリックで拡大]

 1919年にドイツのヴァイマルに設立され、1933年に閉校したバウハウス(ドイツ語:Bauhaus)は、工芸、写真、デザイン、建築などの総合的な教育を行った学校です。工業製品デザインの基礎を作り上げたともいわれています。その教えの中に、次のようなものがあります。

形態は機能に従う(Form Follows Function)

 デザインにおける美しさは、機能に従うものだという考え方です。アイコンを作る際にもぜひ心掛けてみてください。 (次回へ続く

コラム:

絵心やセンスがないとアイコンのデザインができないわけではありません。

方眼紙、縦線、横線、四分円だけで、かなりのカタチを作ることができます。今回は縦線、横線、四分円だけしか使えないミニマルなグラフィックスエディタ「minimator.」を紹介します(図7)。

図7に示した図形の全ては、縦線、横線、四分円だけで描かれています。右側のジョン・レノンのようなキャラクターもです!

縦線、横線、四分円だけで図形を作るミニマルなエディタ「minimator.」
図7 縦線、横線、四分円だけで図形を作るミニマルなエディタ「minimator.」[クリックで拡大]

minimator.

 使い方は至って簡単。ドットの方眼に縦線、横線、四分円を描いていくだけです。変えられるのは“線の太さのみ”という潔さです。一応、Undoもサポートされています。タブレット端末にも対応しています。さらにうれしいのは、SVGへのエクスポートができる点です。SVGは、PowerPointのアイコン作成の強い味方です。アイコン作成のハードルをグッと低くしてくれます。


⇒ 連載バックナンバーはこちら

Profile

栗崎 彰(くりさき あきら)

1958年生まれ。2022年に合同会社ソラボを設立。1983年より、構造解析に従事。I-DEASの開発元である旧SDRC 日本支社、CATIAの開発元であるダッソー・システムズ、サイバネットシステムでシニア・スペシャリストの職を経て現在に至る。多くの企業で3D CADによる設計プロセス改革コンサルティングや、設計者解析の導入支援を行う。特に設計者のための講座「解析工房」が人気。解析における最適なメッシュ・サイズを決定するための「OK法」を共同研究で模索中。


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