密度法によるトポロジー最適化の準備を行う:フリーFEMソフトとExcelマクロで形状最適化(6)(6/6 ページ)
原理原則を押さえていれば、高額なソフトウェアを用意せずとも「パラメトリック最適化」「トポロジー最適化」「領域最適化」といった“形状最適化”手法を試すことができる! 本連載ではフリーのFEM(有限要素法)ソフトウェア「LISA」と「Excel」のマクロプログラムを用いた形状最適化にチャレンジする。連載第6回では「最適性規準法」を用いて、剛性を最大化=平均コンプライアンスを最小化する設計パラメータを求める。
解析を実行する
「Named Selections」と「Loads&Constraints」のツリー構造が、図19と同じになっていることを確認してください。ちなみに、「force」が「displacement」の上にあると、トポロジー最適化のときにエラーとなります。また、余計なものがあれば右クリックして削除してください。
上部メニューから図20に示した「=」マークのボタンを押して解析を実行します。すると「Solver」ウィンドウが表示されるので、「×」ボタンを押してウィンドウを閉じてください。この「×」ボタンの操作を忘れると後でうまくいきません。
図21のように、LISAの画面左にあるツリーから「von Mises Stress」クリックして、相当応力を表示させましょう。
図22のように、上部メニューから「File」−「Save as…」をクリックし、「名前を付けて保存」ウィンドウを開きます。保存場所はCドライブ直下の「C:\Temp」フォルダです。ファイル名として「beam1_opti_1」を入力し、[保存]ボタンを押します。「C:\Temp」フォルダに「beam1_opti_1.liml」という名前のファイルが生成されます。このファイルに入力情報と結果が入っています。今回は「C:\Temp」フォルダを使いましたが、他のフォルダ名でも構いません。しかし、フォルダ名、ファイル名は必ず半角英数字(1バイト文字)にしてください。
実はファイル名の付け方には、図23に示したようなルールがあります。Generationとは、図1の計算手順で示した外側のループの繰り返し数のことです。
長かったですね。これでトポロジー最適化とLISAの準備ができました。次回はこのデータを使ってトポロジー最適化を行います。お楽しみに! (次回へ続く)
Profile
高橋 良一(たかはし りょういち)
RTデザインラボ 代表
1961年生まれ。技術士(機械部門)、計算力学技術者 上級アナリスト、米MIT Francis Bitter Magnet Laboratory 元研究員。
構造・熱流体系のCAE専門家と機械設計者の両面を持つエンジニア。約40年間、大手電機メーカーにて医用画像診断装置(MRI装置)の電磁振動・騒音の解析、測定、低減設計、二次電池製造ラインの静音化、液晶パネル製造装置の設計、CTスキャナー用X線発生管の設計、超音波溶接機の振動解析と疲労寿命予測、超電導磁石の電磁振動に対する疲労強度評価、メカトロニクス機器の数値シミュレーションの実用化などに従事。現在RTデザインラボにて、受託CAE解析、設計者解析の導入コンサルティングを手掛けている。⇒ RTデザインラボ
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