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被ばくをせずに血管内治療のトレーニングができるシステムを開発医療技術ニュース

理化学研究所は、医師がX線被ばくすることなく、血管内治療の手術トレーニングが可能なシステム「非被爆血管内治療シミュレーター」を開発した。従来システムより安価で卓上サイズのため、場所を問わず簡便にトレーニングできる。

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 理化学研究所は2022年2月25日、医師がX線被ばくすることなく、血管内治療の手術トレーニングが可能なシステム「非被爆血管内治療シミュレーター」を開発したと発表した。蛍光観察技術と画像処理技術を組み合わせることで、X線透視下での画像を再現している。従来システムより安価で卓上サイズのため、場所を問わずトレーニングできる。琉球大学との共同研究による成果だ。

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血管モデルの可視光による画像(左)と「非被爆血管内治療シミュレーター」によるX線模擬画像(右) 出所:理化学研究所

 開発したシステムは、X線を使用せずに、X線透視に近い奥行きのない映像をリアルタイムで得られる。高感度カメラと波長選択フィルターを用いた撮影システムを採用し、透明な血管モデルと造影剤として蛍光色素を使用。血管内と治療器具の特定部位だけが蛍光発光するように、カテーテル、ガイドワイヤ、ステントなどの器具にも造影剤と同じ波長の蛍光色素を塗布した。その結果、陰影が少なくなり、奥行きのない映像が得られた。

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「非被爆血管内治療シミュレーター」を用いた血管モデルの撮影画像。(A)造影剤の血管走行の画像。血管モデルに設置した血管の分岐や動脈瘤(丸く見える部分)。(B)ガイドワイヤとカテーテルの画像。黒く見える部分がガイドワイヤとカテーテルで、黄色の円部分はカテーテルの先端を示す。(C)血管とカテーテルの表示画像。(D)白色光源の下で、一般カメラで撮影した画像[クリックで拡大] 出所:理化学研究所

 また、実際の血管内治療で利用される、X線透視像をコンピュータで処理するデジタルサブトラクション血管造影(DSA)機能を再現するために、撮影画像に対してリアルタイムで処理できる画像処理機能も付加した。

 血管内治療では、カテーテルやステントを用いて、狭窄に対する血管拡張、動脈瘤の塞栓、血栓の除去などをする。

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さまざまな血管内治療の模式図。(A)術部へのカテーテルの誘導。(B)脳動脈瘤への血管内治療(コイル塞栓術)。(C)頚動脈狭窄への血管内治療(バルーン血管形成術+ステント留置)。(D)脳血管閉塞への血管内治療(血栓回収)。(E)心臓冠動脈梗塞への血管内治療 出所:理化学研究所

 血管内治療は患者にとって負担が少ない治療法であるものの、高度な技術を要し、医師のトレーニングが必要だ。従来のトレーニング法は、実際の手術と同様にX線透視下で実施するため、医師の被ばくが避けられなかった。

 今回の研究成果を用いれば、被ばくを心配せずにどこでも簡便にトレーニングができるようになる。冠動脈疾患や脳梗塞、脳動脈瘤などに対する血管内治療に携わる医師の技術向上への貢献が期待できる。

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