トヨタが再び「意志ある踊り場」へ、2022年4月のグローバル生産台数は75万台に:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車は2022年4月のグローバル生産台数について、従来見込みの約90万台から約15万台下方修正し75万台とする方針を発表した。同年4〜6月を「意志ある踊り場」とし、同期間のグローバル生産台数を月平均で約80万台に抑えるなどして、安全・品質を最優先にした生産計画を策定する。
トヨタ自動車は2022年3月17日、同年4月のグローバル生産台数について、従来見込みの約90万台から約15万台下方修正し75万台(国内25万台、海外50万台)とする方針を発表した。4〜6月を「意志ある踊り場」とし、同期間のグローバル生産台数を月平均で約80万台に抑えるとともに、減産リスクなども織り込んだ計画を3カ月先までサプライヤーに伝えるなどして、安全・品質を最優先にした生産計画を策定する。
同社によれば「これまで、最終ユーザーに1台でも多く早く車両を届けるべく、関係各所の多大なるご協力をいただき、挽回生産に取り組んできた。一方、部品供給不足による直前の生産計画変更が度重なり、関係仕入先を含めた生産現場に大きな負担をかけていた」(ニュースリリース)という。実際に、トヨタ自動車の2021年度第3四半期決算発表では、通期のグローバル生産台数見込みを850万台として、この目標達成に向けて2022年3月に挽回生産を行うこと決めている。そして、同月の月間グローバル生産台数は過去最多となる95万台という計画だった。
こうした反省を踏まえ、現実に即した無理のない生産計画に見直すことを目的に、特に2022年4〜6月を「意志ある踊り場」として、サプライヤーの人員体制や設備能力なども勘案しながら計画立案を行うことを決めた。これにより「設備などの能力を超えて限界まで人や残業時間を調整するのではなく、安全・品質を最優先に健全な職場環境を整備できるようにしていく」(ニュースリリース)。また、減産リスクなども織り込んだ計画を3カ月先までサプライヤーに伝え、毎月、3カ月単位で生産計画の見直しやサプライヤーへの情報共有を行っていくとしている。
なお、半導体不足や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大などで、数カ月先を見通すことは依然として難しく、今回発表した計画からさらに下振れする可能性もある。この場合、部品供給やサプライヤーの状況を精査しながら、できるだけ急減産の幅を縮小し、生産計画の正常化とサプライヤーの負担軽減に最大限努めるという。
2022年4月の計画見直しに合わせて、同月の国内工場の稼働停止予定も発表した。全14工場28ラインのうち、堤工場(愛知県豊田市)の第2ライン、田原工場(愛知県田原市)の第3ライン、トヨタ自動車九州 宮田工場(福岡県宮若市)の第1ラインと第2ライン、トヨタ自動車東日本 岩手工場(岩手県金ケ崎町)の第1ラインと第2ライン、トヨタ車体 富士松工場(愛知県刈谷市)の第2ライン、合計5工場7ラインで稼働停止を予定している。
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