進む製造業のDX、ソニー、リコー、コマツ産機、旭化成の取り組み:製造業IoT(2/2 ページ)
日本マイクロソフトは2022年3月15日、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援への取り組みを説明すると共に、ソニーやリコー、コマツ産機、旭化成と共同で取り組むDXの事例を紹介した。
ワイヤレスイヤホンを活用した新ビジネス創出に取り組むソニー
これらのマイクソフトの支援を活用したDX事例も増えつつある。ソニーは2022年2月に発売したワイヤレスステレオヘッドセット「LinkBuds」を活用し、目と手をふさがないコミュニケーションとしてB2Bでの新たなビジネス創出を推進。LinkBudsとMicrosoft SoundScapeを組み合わせ、LinkBudsにより頭の向きが分かることからその向きに合わせてナビゲーションを行う取り組みなどを進めている。さらに、医療現場を含め現場作業においてスタッフとのコミュニケーション改善や自然なハンズフリーコミュニケーションの実現を推進。マイクロソフトのAzure Communication ServiceとChatbotを活用したコミュニケーションサービスを、2022年4月から病院で実証を行う。その他、医療機関や建築現場、製造現場、対面サービスなどに拡大を進めていく方針だ。これらの開発には、マイクロソフトのエンジニアのサポートによりスクラム開発手法で実施。「Azure DevOps」を活用し、円滑で短期間の開発を可能としたという。
社内データの統合的な活用を加速するリコー
リコーでは、OAからデジタルサービス企業への転換を目指しさまざまな取り組みを進めており、その中でリコーそのもののDXを推進している。そこでマイクロソフトとの共創を中心に業務プロセスの改革を進めている。その中で社内のデータ活用を円滑化する取り組みを進めた。工場で生まれるデータや同社のMFP製品などから生まれるデータなどリコー内ではさまざまなデータを収集しているが、非構造化データも多くデータの参照元なども分散しており有効に活用することが難しかった。そこで、Azure Synapse Analyticsを活用することで、データの前処理を一括で行えるようにし、個別データの活用を容易にしたという。
生産設備の予兆保全を推進するコマツ産機
コマツ産機は、同社が展開するプレス機器などに建設機械で実績のある「Komtrax」の産機版である「産機Komtrax」を搭載しIoT(モノのインターネット)化を推進。得られたデータを機械学習により分析することで予知保全を実現している。機械学習を実装するには従来はコードを書く必要があったが、マイクロソフトのAzure Machine Learningを活用することでGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)で容易に設定できる。実用化レベルの高い正答率を出すことができるようになっているという。今後は、対象範囲をさらに広げると共に予知保全を活用したアプリケーションの拡大にも取り組んでいく。例えば、AIを活用して不良部位を特定する技術の開発を推進している。モーターベアリングやタイミングベルト、コンロッド、等速減速機などの解析波形を活用し、これらをAI活用により分析することで劣化部位の寿命を予測し保全計画を立案する。
社内の統合データ基盤構築を進める旭化成
旭化成は2021年にデジタル共創本部を立ち上げDXを本格化。ただ、2015年頃からさまざまな部門で400以上のDXプロジェクトを進めており、これらを統合するデータ基盤の構築などを進めている。新たに構築を進めているデータ基盤「DEEP(Data Exploration & Exchange Pipeline)」でマイクロソフトのさまざまな技術を活用している。また、DXを推進する人材育成も進めており、デジタル人材4万人プロジェクトとして全社員がEラーニングにより学習しスキルレベルを高める取り組みを進めている。
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