非接触センシング技術を用いてロボットの加工経路を自動生成する技術を開発:FAニュース
日本省力機械は、産業用ロボットの加工経路を自動生成する技術「自動ティーチング」が国内特許を取得したと発表した。非接触センシング技術により、産業用ロボットが加工位置を短時間で把握するため、ティーチング作業の負担軽減に貢献する。
日本省力機械は2022年2月14日、非接触センシング技術を用いて産業用ロボットの加工経路を自動生成する技術「自動ティーチング」が、国内特許を取得したと発表した。米国、中国、欧州においても国際特許を出願中だ。
自動ティーチング技術は、非接触センシングにより取得した断面形状のデータを基に、独自の数学的アルゴリズムが加工位置を判断し、加工経路を自動で生成する。同技術を用いることで、産業用ロボットが数10秒から数分程度で加工位置を把握できるようになり、ティーチング作業の負担を大幅に軽減する。
同社の「自己ならい加工」技術と共用することで、熟練作業者がいない現場やCADデータを利用できない現場でも、高精度な加工が可能になる。非接触センシング技術を使うため、大きさや形状、材質が異なる広範な加工対象物に対応し、産業用ロボットによる部品のバリ取りや研磨、溶接、シーリングなど、多様な加工に適用できる。
同社は2022年中に、同技術を組み込んだ産業用ロボット製品を発売する。将来はAI(人工知能)技術と組み合わせて、加工システム全体の知能化にも取り組む。
産業用ロボットに加工経路を教示する手法には、実際に動かして教示するインラインティーチングと、PC上でプログラミングするオフラインティーチングがある。どちらの教示法も多くの時間を要する上、現場での微調整が必要となるなど、人手に頼ることが多いのが課題となっている。
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