アサヒビールが工場再編、神奈川工場と四国工場、西宮東配送センターを閉鎖:工場ニュース
アサヒグループホールディングスは2022年2月15日、国内におけるアサヒグループジャパン傘下のサプライチェーン体制の再編計画を発表した。
アサヒグループホールディングスは2022年2月15日、国内におけるアサヒグループジャパン傘下のサプライチェーン体制の再編計画を発表。アサヒビール神奈川工場(神奈川県南足柄市)、四国工場(愛媛県西条市)を2023年1月に操業終了する他、アサヒビール博多工場(福岡市)を2025年に操業終了し近隣地域へ移転する。また、アサヒビール西宮東配送センター(兵庫県西宮市)も2024年末をめどに業務終了し、同敷地内のニッカウヰスキー西宮工場についても2024年3月をめどに操業を終了する。
多様化対応や環境対応投資のために集中と選択
アサヒグループホールディングスでは、国内における持続的成長を推進するために、市場環境の変化に対応したサプライチェーン体制の構築を推進。ニーズが多様化する中、多品種・多容器生産体制による環境対応力の強化に加え、生産・物流体制の最適化によるコスト競争力の強化、環境配慮型の技術・生産設備の拡充などの新たな投資を進めるために、拠点の選択と集中を進める方針だ。
まず、アサヒビール神奈川工場と四国工場の操業を2023年1月末に終了する。両工場に所属する137人の社員については、グループ社内における配置転換や「ネクストキャリア支援制度」による再就職支援サービスの提供などを実施する。操業終了後の工場跡地の活用についてはまだ検討中だとしている。この2工場閉鎖に関する費用として、営業費用145億円を2022年12月期決算に計上予定としているが、詳細については精査後発表するという。
次に、アサヒビール西宮東配送センターを2024年末をめどに終了する。併せて、同敷地内にあるニッカウヰスキー西宮工場を2024年3月をめどに終了する。飲食店向け樽詰めサワー「樽ハイ倶楽部」「樽詰めハイボール」の生産機能は、アサヒビール吹田工場に移管する。アサヒビール西宮東配送センターとニッカウヰスキー西宮工場に所属する社員は、グループ社内での配置転換を行う。配送センターおよび工場跡地の活用については、現在検討中だとしている。
そして、アサヒビール博多工場を2025年末をめどに終了し、近隣への移転を計画する。2026年から新九州工場(仮称)として操業を開始する計画だ。122人の社員については、移転先の新九州工場を主とした配置転換を実施する。操業終了後の博多工場跡地の活用および移転先についても現在検討中だとしている。
新九州工場は、次世代生産体制のモデル工場として、製造方法の刷新などによりエネルギー使用量を従来比で50%削減し、使用するエネルギーの再生可能エネルギー化を推進する。さらに、CO2回収技術の導入などにより、操業初年度からCO2吸収量が排出量を上回る「カーボンネガティブ」の実現を目指す。さらに、ビール類、ノンアルコールビールテイスト飲料、RTD、アサヒ飲料製品などグループの多様な製品や容器の製造を行い、物流面での効率化と工場の操業度向上を目指す。
これらの取り組みにより、2026年には2021年比でコストの約30億円削減を実現する。また、新九州工場でのカーボンネガティブ化への取り組みをベストプラクティスとしてグループ工場に水平展開することで、2029年にアサヒビールの全工場でカーボンネガティブ化を達成する計画だ。
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