5Gが真価を発揮する2022年、スタートアップ4社が東京でイノベーションを街中実装:製造業IoT(3/3 ページ)
サムライインキュベートが、東京都の「5G技術活用型開発等促進事業」に基づいて5Gによるイノベーションの街中実装や事業化を推進するアクセラレータープログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」の第1期採択スタートアップ企業4社を発表。2022年4〜7月にかけて大手企業や大学などの街中実装パートナーとの実証を進める。
XR周遊観光、リアルワールド・メタバース
シナスタジアのプロジェクトは「5Gによる大量普及型XR顧客体験価値向上サービス」で、街中実装パートナーは京浜急行電鉄が務める。
これまでもシナスタジアは京浜急行電鉄と共同して、XR周遊観光サービスの「RideVision」を観光バスで楽しめるツアーを提供するなどしてきた。2021年12月〜2022年1月にかけて行ったXRツアーは、4000円のチケットが全て満席となるなど好評を博した。しかし、VRヘッドセットや対応PCが高コストかつ大規模なシステムになり、サービスをスケールするのが難しいことが課題になった。プロジェクトでは、5Gを活用したクラウドレンダリングで高価な機器を使わずにリッチなXR体験の提供を目指す。2022年8月までに、5Gによる“シンクライアント化”を実現し、そこから2023年6月まで観光バスを用いたサービスの実運用を行うとしている。
Placyのプロジェクトは「オフィスにおける創造・共創を誘発するリアルワールド・メタバースサービス」と「人と都市とのリアルなつながり・交流を創出するリアルワールド・メタバースサービス」で、街中実装パートナーは清水建設と三菱地所が務める。
Placyは「人と場所との関係を創りなおす」ことを目指すスタートアップだ。都市などの空間について機能価値だけでなく感性価値を可視化し、画一的ではないより魅力的な都市として再構築を支援している。実際に、音楽を通じて感性を可視化し、その音楽に合う場所を探せるアプリ「Placy」を展開している。プロジェクトでは、オフィスや都市の感性を可視化する「感性マップ」をデータ化し、実空間と重ね合わせることで価値を創出する「リアルワールド・メタバースサービス」の開発に取り組む。三菱地所とは、ナイアンティックのAR技術を活用した「街クエスト」体験などによって感性データを収集し街の感性マップを生成。この感性マップに基づき、街のブランド力向上につながる良質な界隈性、回遊性を創出する。清水建設とは、オフィスの感性マップ生成に基づき、創造や共創を誘発するBGMを流すなどして、オフィスに集まる価値の創出を目指すとしている。
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