5Gミリ波と6Gの真の実力を引き出す「アナログRoF」、IOWN構想で実現へ:組み込み開発ニュース
NTTは、オンライン開催の技術イベント「NTT R&Dフォーラム Road to IOWN 2021」において、変動する無線環境に応じたネットワークサービスを提供する「エクストリームNaaS(Network as a Service)」を紹介した。
日本電信電話(以下、NTT)は、オンライン開催の技術イベント「NTT R&Dフォーラム Road to IOWN 2021」(2021年11月16〜19日)において、変動する無線環境に応じたネットワークサービスを提供する「エクストリームNaaS(Network as a Service)」を紹介した。
5Gやその次世代技術の6Gで大容量通信を行うためには、指向性と減衰率が高いミリ波などの高周波数帯の電波を用いる必要がある。このため、広いエリアをカバーするには多数の無線基地局を高密度に配置しなければならない。エクストリームNaaSは、これら高周波数帯無線システムを有効に運用するための技術であり「アナログRoF高周波数帯エリア構築技術」と「マルチ無線プロアクティブ制御技術」から成る。
アナログRoF高周波数帯エリア構築技術は、無線の送受信を行うとともにさまざまな信号処理を行うために大型化している基地局について、アンテナで無線を送受信するアンテナ機能だけに限定して簡素化した張出局とし、信号処理は張出局と光ファイバーでつないだ集約局で集中処理するというコンセプトだ。RoFはRadio over Fiberの略で、アナログの通信データが光ファイバー上を行き来するイメージになる。
「現在は、基地局でアナログ信号をデジタル信号に変換しているが、5Gのミリ波や6Gでは信号を送受信するアンテナを高密度に配置しなければならないことを考えると、1つ1つのアンテナをできるだけ小型化、省電力化する必要がある」(NTTの説明員)。NTTの光ベースの革新的ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical & Wireless Network、アイオン)」で導入を進めているAPN(All-Photonics Network)などを活用することで、アナログRoFを実現できるようになる。
また高周波数帯を用いた通信は指向性が高いために、無線通信対象へのビーム追従も必要になる。信号処理機能を持つ従来の基地局であればビーム追従が可能だが、アナログRoFでは信号処理を行う集約局からビーム追従の制御を行う必要がある。展示では、アナログRoFでもビーム追従が行えるという実証実験結果を示した。
一方、マルチ無線プロアクティブ制御技術はCradioと呼ばれており、無線環境の把握、予測、制御を行って動的にユーザーエリアを構築し、変化し続ける環境に無線ネットワークを追従させられる。展示では、ミリ波を用いたローカル5G環境を導入している横須賀R&Dセンタと遠隔でつなぎ、物流倉庫を模したデモンストレーションを披露した。移動した荷物が基地局からのミリ波を遮って、作業ロボットとの通信が行えない状況になっても、基地局自身が移動することで通信が行えるようになる様子を見せた。また、作業ロボット自身が移動してミリ波の通信範囲から外れる場合についても、反射板(RIS:Reconfigurable Intelligent Surface)の角度を制御することで通信が可能になる。
アナログRoF高周波数帯エリア構築技術は2023〜2024年をめどにPoC(概念実証)を開始する計画。マルチ無線プロアクティブ制御技術は2023〜2024年ごろから、一部技術の段階的な実用化を始めたい考えだ。
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